人工知能(AI)半導体で世界最大手の米エヌビディアが、ハイイールド債(投機的格付け債)による38億ドル(約5800億円)の資金調達で建設されるデータセンターをリースする。AIインフラ整備に向けた投機的格付け債の発行が増加しており、暗号資産マイニング企業も同様の手法で資金調達を実施している。一方、香川県がエヌビディアとAI活用や企業誘致で連携協定を締結することが明らかになり、日本の地方でもAIインフラ整備の動きが加速している。
エヌビディア、投機的格付け債で調達のデータセンターをリース
複数の関係者が匿名を条件に明らかにしたところでは、ネバダ州ストーリー郡に建設される200メガワット級のデータセンターと変電所の建設資金を賄うため、資産運用会社トラクト・キャピタルが支援する事業体がジャンク債を発行する。発行額は旺盛な需要を反映して2月12日午後の段階で1億5000万ドル増額され、利回りは6%前後で価格交渉が進められている。
エヌビディアの初期のリース期間は約16年で、同社はさらに2回(各10年)の延長オプションを行使できる。優良企業であるエヌビディアがテナントとなることで、投資家にとって魅力的な投資案件となっている。メタ・プラットフォームズやオラクルなどのIT大手は投資適格債市場で数十億ドル規模の資金調達を行っているが、ジャンク級格付け企業による起債は比較的少なかった。
Sponsoredただし、市場の反応には温度差がある。一部のトレーダーは、AIインフラのレバレッジ増大を示し、需要の高まりを指摘する一方、需要減速時の持続可能性に疑問を呈している。
暗号資産マイニング企業も同様の資金調達手法を活用
データセンター開発業者はここ数カ月、新たな施設の建設資金を賄うためハイイールド債市場を積極的に利用している。暗号資産マイニング会社サイファー・マイニングとテラウルフは、グーグルの保証を得て調達に動いた。また、アプライド・デジタルはジャンク級格付けのネオクラウド業者コアウィーブを主要テナントとする施設向けに資金を調達している。
AI演算需要の高まりは、暗号資産マイニング業界にも影響を与えている。マイニング企業の多くが保有する高性能GPU資源をAI演算サービスに転用する動きが広がっており、データセンター施設への投資ニーズが拡大している。投機的格付け債市場の活況は、こうしたAI関連インフラへの旺盛な資金需要を反映したものだ。
香川県とエヌビディアが連携協定―全国自治体で初
香川県は2月17日、エヌビディア合同会社と「AI活用等の推進に向けた連携協定」を締結する。締結式には池田豊人知事とエヌビディア日本法人代表の大崎真孝氏が登壇し、AI分野の第一人者である東京大学大学院の松尾豊教授も参加する。
香川県は今後5~10年を見据えた企業誘致施策「せとうち企業誘致100プラン」を策定しており、今回の連携協定により県内におけるAI活用の推進や情報通信関連企業の誘致、AI・IT人材の育成に取り組む。地方自治体とグローバルAI企業の連携は、日本国内でのAIインフラ整備とデジタル人材育成を加速させる契機となる可能性がある。
エヌビディアによるデータセンターリースや地方自治体との連携強化は、AI演算需要の拡大がインフラ投資を促進している現状を示している。暗号資産業界においても、マイニング施設のAI演算転用やデータセンター投資が進展しており、フィンテック・暗号資産セクターとAI産業の融合が一層加速する見通しである。投機的格付け債市場の活性化は、新興テクノロジー分野への資金流入を促し、暗号資産関連企業の資金調達手段の多様化にも寄与すると見られる。