大手暗号資産取引所OKXは、パイネットワークのパイコイン（PI）に対する新たなUSDC建て取引ペアを導入し、市場流動性の拡大を図った。ただし、この動きはパイの価格と取引量が低迷を続ける中で実施されており、プロジェクトを取り巻く市場の課題や不透明感を反映している。
SponsoredOKX、パイコインに新たなUSDCペアを導入 市場関心低下の中
OKXはオープンネットワーク立ち上げ直後にパイコインを最初に上場した取引所として知られる。同社は現在もPIの日々の取引量の大部分を握っている。
CoinMarketCapのデータによると、執筆時点でPIの取引量は5,400万ドルで、そのうち37.2%がOKX経由だった。さらに8月21日にはPI/USDCペアを追加している。
この導入は取引機会を広げ、流動性を高める狙いがある。パイネットワークのコミュニティ（パイオニア）からは前向きな反応も見られる。
この新しいペアは、パイエコシステムにより高い流動性、採用拡大、そして強い成長をもたらす！
— ユーザー投稿 X（旧Twitter）
しかし今回の導入は、厳しい市場環境と重なっている。CoinMarketCapのデータによれば、PIの月間取引量は3月の180億ドルから7月には26億ドルへと急減している。
この85%の減少は投資家関心の冷え込みを映し出す。さらに3月以降、取引所のPI準備金が50%増加したことで下押し圧力が強まった。BeInCryptoの報道によると、8月時点で準備金は4億900万PIに達している。
最新のPiハッカソン2025はこうした流れを反転できず、むしろコミュニティの批判を招いた。
また、BeInCryptoはPIのソーシャルドミナンス低下を指摘。SNSやオンライン上での存在感が薄れている。
特に深刻なのは価格動向だ。広範なブル相場にもかかわらず、PIは上昇の勢いを欠いたまま。現在の水準は、8月6日に記録した最安値0.33ドルまであと7.7%に迫っている。
記事執筆時点でパイコインは0.36ドルで取引され、過去24時間で0.9%下落した。下落傾向が続けば、最安値の更新も視野に入る。
USDCペアは流動性を補完する一方、現状では課題をさらに増幅しかねない。パイオニアや投資家は資本流入や価格安定を期待していたが、市場は逆のシグナルを示している。
需要が伴わなければ、新ペアはPIの市場退出の手段に転じる可能性があり、戦略的な試みがリスク要因へ変わる恐れもある。
