ブロックチェーン関連事業を手がけるPacific Metaは17日、アニメ・音楽・映画・ゲームなどの知的財産(IP)ライセンス権利をトークン化し、小口で売買できるプラットフォームのプロトタイプ「IP Market Place by Pacific Meta(仮称)」を開発した。IPの権利をERC-20規格のファンジブルトークンとしてオンチェーンで表現し、一般ユーザーが「1口」単位から購入・保有・売却できる仕組みの実現可能性を検証する実装実験と位置づけている。
エンタメ産業の「中抜き構造」に課題
エンターテインメント産業では、クリエイターへの収益還元が構造的に低い水準にとどまっているとされる。音楽業界を例に挙げると、米国の年間消費支出430億ドルのうち、アーティストの手元に届く割合は約12%にすぎないという指摘がある。残りはレコード会社、出版社、ディストリビューター、ストリーミングプラットフォームなど多層の仲介事業者が受け取る構造となっている。
さらに、生成AIの普及によって二次創作やリミックスが急増する中、既存のインフラでは「誰が元のIPを創作したか」「派生物からの収益が元のクリエイターにどう分配されるか」を追跡することが困難になりつつある。Pacific Metaはこうした課題の解決策として、スマートコントラクトを活用したブロックチェーン基盤のIP権利管理に着目した。
IPトークン化で流動性と透明性を確保
今回公開されたプロトタイプでは、IPの権利をブロックチェーン上でトークン化することで三つの主要機能を実現しようとしている。
第1に、24時間365日のパーミッションレスな二次流通だ。従来は機関投資家のみがアクセス可能で、権利の売買に数週間から数カ月を要していた音楽権利市場などを、即時取引可能な形に変える。第2に、ロイヤリティ収益の分配をオンチェーンで追跡可能にし、「誰にいくら支払われたか」を改ざん不可能な形で可視化する。第3に、スマートコントラクトにライセンス条件と収益分配ルールを埋め込む「プログラマブルなライセンス」で、二次利用が発生した際の許諾と課金を自動執行する。
購入はUSDC建てで行われ、アニメ・音楽・映画・ゲームの4カテゴリを対象とする。ダッシュボード機能では、保有IPの累計収益・月次収益・年間利回りをリアルタイムで確認できる。
実用化へ共同開発パートナーを公募
同社は現時点で特定のIPホルダーとの契約は結んでおらず、プロトタイプに表示されるIPはすべてデモ用の架空データである。法的な実現性についても別途検討中としており、あくまで技術的・UX的な可能性を検証する段階にある。
今後の実用化に向け、アニメ制作会社、音楽レーベル、映画配給会社などのIPホルダーや、レイヤー1・レイヤー2チェーン運営者、セキュリティトークン・RWA(現実資産)に関心を持つ金融機関・証券会社、IP権利トークン化の法的フレームワーク整備に取り組む法律事務所などとの共同開発パートナーシップを公募している。プロトタイプのデモ環境へのアクセスは審査制で受け付けており、事業者・投資家・メディア・ブロックチェーン開発者を優先する方針だ。
Pacific Metaは2022年8月設立で、東京都港区を拠点にブロックチェーンアクセラレーター事業(コンサルティング、事業投資、マーケティング)を展開している。