SBIホールディングスとStartale Groupは27日、共同開発を進める日本円建てステーブルコインのブランド名称を「JPYSC」と発表した。信託型の3号電子決済手段として新生信託銀行が発行し、規制当局の承認を前提に2026年度第1四半期(4月から6月)のローンチを目指す。日本の法規制に準拠した信託型円建てステーブルコインとしては初の事例となる。
両社は2025年12月に円建てステーブルコインの共同開発に向けた基本合意書を締結しており、今回の名称とロゴの公開により、プロジェクトは具体的なローンチ準備段階に入った。改正資金決済法に基づく信託型構造により、JPYSCは資金移動業者型で適用される国内送金と滞留における100万円の上限規制の対象外となる。機関投資家レベルの大規模取引やクロスボーダー決済、トークン化資産の決済など、幅広い法人向け用途での活用が想定されている。
信託型構造で資産保全を確保
JPYSCは改正資金決済法における3号電子決済手段として位置づけられる。SBI新生銀行の子会社である新生信託銀行が発行と償還を担当し、信託の仕組みを通じて裏付け資産の保全を行う。この信託型構造により、発行体の破綻リスクから利用者の資産を保護する設計となっている。
技術開発はStartale Groupが主導し、流通面ではSBIグループの暗号資産取引所であるSBI VCトレードが主要な販売パートナーを務める。既存の金融システムとブロックチェーンネットワークをシームレスに接続する設計となっており、従来の金融機関と新興のデジタル資産市場の両方で利用可能な基盤を目指す。
今回公開されたロゴは青色を基調とした円マークのデザインで、信頼性、安定性、安全性、グローバルな接続性という価値を表現している。主要金融機関や大手企業からの関心も高く、実務決済、資金管理、国際送金などの用途での採用が期待されている。
法人向けユースケースを重視
JPYSCは個人向けの小口決済よりも、法人間の大口取引や国際決済に焦点を当てている。1号・2号電子決済手段に適用される100万円の送金・滞留制限を受けないため、トレジャリー業務、大規模決済、越境取引など、企業の財務管理や国際商取引での利用を想定している。
SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長は、「あらゆる現実資産がトークン化され、決済手段として社会に浸透するトークン・エコノミーへの移行は不可逆的な潮流だと指摘。JPYSCを国内外に流通させることで、伝統的金融と完全に統合されたデジタル金融サービスを加速させる」と述べた。
Startale GroupのCEOである渡辺創太氏は、「JPYSCがオンチェーン化された世界で中心的な役割を担うとし、特にAIエージェント間の決済やトークン化資産の分配領域に大きな可能性がある」との見解を示した。
同社は2025年12月にソニーグループとの合弁会社が開発するレイヤー2ブロックチェーン「Soneium」上で米ドル建てステーブルコインをローンチしており、今回の円建てステーブルコインの提供により、複数通貨建てのステーブルコイン事業を展開することになる。
グローバル競争が激化する中での位置づけ
世界的にステーブルコイン市場は急速に拡大しており、現在はUSDCやUSDTなど米ドル建てが圧倒的なシェアを占めている。一方、日本は主要市場の中でステーブルコインに関する明確な法的枠組みを整備している数少ない国の一つであり、JPYSCは日本の規制環境を活用した国際競争力のあるデジタル通貨インフラの構築を目指す。
両社は、規制に準拠したデジタルファイナンスの新時代のインフラを構築し、オープンかつ効率的で、世界的に信頼される金融商品の提供を通して、社会のオンチェーン化を推進するとしている。ローンチに向けては、関連する規制当局の承認取得と制度への対応体制の整備が前提となる。
SBIグループは11兆円超の運用資産残高と6500万人超の顧客基盤を持つ総合金融グループであり、Startale Groupはソニーグループとの共同開発によるSoneiumやAstar Networkなどのブロックチェーン開発を手がけるグローバルフィンテック企業である。両社の戦略的パートナーシップにより、日本発のグローバルに通用するデジタル円の基盤構築が進められている。