SBI VCトレードは19日より、米ドル連動型ステーブルコイン「USDC」を対象としたレンディングサービスを開始する。金融庁・財務局に登録された暗号資産交換業者によるUSDCレンディングは国内初となる。開始記念として当初12週間満期で年率10%を提供し、通常時も年率5%程度を予定する。ステーブルコインを活用した新たな米ドル建て資産運用の選択肢として注目される。
国内ライセンス業者初のUSDCレンディング
SBIホールディングスの連結子会社であるSBI VCトレードは、電子決済手段等取引業者として国内で唯一、一般消費者向けにUSDCの流通・取引サービスを提供できるライセンスを保有する。同社は2025年3月26日よりUSDCの取り扱いを開始しており、今回はそのUSDCを顧客から借り受け、利用料(賃借料)を支払う消費貸借取引の形式でレンディングサービスを展開する。
サービス名称は「貸コイン」。1回の募集における1口座あたりの申し込み上限は5,000USDCで、貸出期間は当初12週間満期とされる。利用料はUSDCで返還される仕組みだ。途中解約は原則認められておらず、契約期間中は対象USDCの売却・譲渡・担保設定もできない点に留意が必要である。
外貨定期預金との利回り比較と税制上の特徴
USDCレンディングの想定年率は、一般的な米ドル外貨定期預金(3カ月満期)の年率0.01%〜4%程度(優遇時3〜5%)と比較して、通常時でも年率5%程度と高水準にある(2026年3月13日時点、同社調べ)。ただし、年率はマーケット環境により変動し、状況によっては新規募集が停止される場合もある。
税務面では、外貨定期預金の利息が一律20.315%の源泉分離課税となる一方、USDCレンディングの収益は雑所得として総合課税の対象となる。1回の募集における申し込み上限が5,000USDCであることから、他の雑所得がない等の一定条件を満たせば年間の雑所得が20万円以下に収まり、確定申告が不要となるケースもある。ただし、年間20万円超の場合、所得税(復興特別所得税含む)と住民税を合わせた最大税率は55.945%に達する点は注意が必要だ。
リスクと今後の展開
同サービスには固有のリスクも存在する。顧客がSBI VCトレードに貸し出したUSDCは、資金決済法に基づく分別管理の対象外となるため、同社が経営破綻した場合、貸出したUSDCの全部または一部が返還されない可能性がある。また、USDCは特定の国家によって価値が保証されたものではなく、法定通貨とは性格が異なる点も留意すべきである。
同社は今後、募集頻度を引き上げることで多様な貸し出しニーズへの対応を拡充する方針を示している。ステーブルコインを活用した資産運用サービスは国内ではまだ黎明期にあり、規制対応済みのライセンス業者が手がけるUSDCレンディングの動向は、暗号資産業界および伝統的金融機関の双方から関心を集めそうだ。