柴犬コイン(SHIB)が複雑なテクニカルシグナルを発しながらも底堅い値動きを見せている。3月25日時点で約5%上昇し0.00000606ドル付近で取引されており、短期チャートに出現したデスクロスを価格が上方に抜け出す展開となった。一方、資産運用大手T. Rowe Priceが先週、暗号資産ETFの適格資産にSHIBを組み入れたことで、機関投資家からの評価が高まりつつある。ミームコインとしての出自を超え、分散型金融インフラとして進化を続けるSHIBの現状を多角的に分析する。
デスクロス形成でも価格は上昇=矛盾するテクニカルシグナル
1時間足チャートでは、3月22日にSHIBがデスクロスを形成した。これは200期間の単純移動平均線(SMA)が50期間SMAを上抜ける現象で、短期的な下落圧力を示すとされる弱気シグナルだ。米国とイランの地政学的緊張が高まったことを受け、SHIBは同日中に0.00000575ドル付近から0.00000565ドルまで下落した。
注目すべきは、このデスクロスが形成される24時間前の3月21日に、50期間SMAが200期間SMAを上抜けるゴールデンクロスが発生していた点だ。強気シグナルが出現したにもかかわらず市場がその勢いを持続できず、わずか1日でシグナルが反転するという異例の展開となった。
しかし、より長い時間軸では異なる景色が広がる。4時間足チャートでは、3月19日に形成されたゴールデンクロスが維持されており、0.00000562ドル付近の安値からの反発後、2本の移動平均線の乖離は拡大を続けている。
現在の価格水準は両移動平均線を上回っており、中期的なトレンドが下方転換したとは言い難い状況だ。
機関投資家の参入—T. Rowe PriceのETF届出がSHIBの評価を一変
短期的な価格動向を超えて市場参加者の注目を集めているのが、機関投資家の動向だ。米大手資産運用会社T. Rowe Priceは3月17日、アクティブ運用型暗号資産ETFのS-1修正届出書を米証券取引委員会(SEC)に提出し、SHIBを適格資産として明記した。時価総額34億ドル超の資産が、プロの機関投資家から「ダイナミックなデジタル資産」として認識されたことを意味する。
また、レイヤー2ネットワーク「Shibarium」の累積取引件数が2026年初頭時点で5億件を突破。2026年第2四半期には、完全準同型暗号(FHE)技術を活用した「Alpha Layer」アップグレードが予定されており、企業向け機密スマートコントラクトの実装が視野に入っている。供給面では、Shibariumの統合バーンポータルを通じて数十億トークンが焼却(バーン)されており、デフレ圧力が継続的に働いている。
なお、「SHIBはいつか1ドルに到達するか」という個人投資家からの関心は根強いが、数学的観点では現実的ではない。現在の約589兆トークンという流通供給量に基づけば、1ドル達成には589兆ドルという世界GDPの約6倍に相当する時価総額が必要となる。中期的な現実的目標としては、0.00001ドル水準を下値支持線として奪還することが挙げられる。
デリバティブ市場と取引所残高が示す需給の変化
足元の価格上昇は、デリバティブ市場にも影響を及ぼした。過去24時間のSHIB関連の清算総額は約11万9,000ドルに達し、そのうちショートポジションの強制清算が約9万4,000ドルと大半を占めた。下落を見込んでいた売り方が、想定外の上昇によって損失を被った形だ。暗号資産市場全体でも、Coinglassのデータによると同期間に約6億1,100万ドル相当のレバレッジポジションが清算された。
取引所の保有残高にも注目の動きがある。取引所上の保有残高が80.9兆トークンまで低下しており、これは大口保有者(いわゆる「クジラ」)がトークンをコールドウォレットに移動させている可能性を示す。一般に取引所残高の減少は、売り圧力の低下や将来的な「供給ショック」の予兆として解釈されることが多い。今週のSHIB上昇は、トランプ米大統領がイランとの交渉進展に言及したことで地政学的リスクが和らいだことも追い風となった。ミームコインとしての出発点を持ちながら、インフラ型資産へと変貌を遂げつつあるSHIBの行方が注目される。
【本記事の3つのポイント】
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