シルバー先物は29日、117ドルを突破し、過去1年間で275%上昇する歴史的なブルランを継続中。深刻な現物供給のひっ迫がこの急騰を後押ししている。取引所倉庫の在庫は、未決済先物建玉の14%しかカバーしていない。
在庫減少、過大な商業筋のショートポジション、異常なバックワーデーションの転がし。この複合的な要因が典型的なショートスクイーズをリアルタイムで引き起こしている。
Sponsored倉庫在庫が圧迫
1月27日付の最新CME倉庫在庫報告によれば、COMEX認定保管庫の総銀保有量は4億1170万オンスまで減少した。特に重要なのは、先物契約に即時納品可能な「登録済み」在庫が1億770万オンスまで減少した点である。
登録在庫は1日で470万オンス減少。在庫が倉庫から引き出されたか、「適格」区分に移された。適格在庫は先物納品には使用できない。
未決済建玉総数は15万2020枚(7億6000万オンス)に上る。登録在庫は、このオープンポジション全体の14.2%しかカバーできていない。つまり一部の先物保有者が現物受け渡しを求めただけでも、取引所は著しい業務上の緊張を強いられる可能性がある。
商業筋の売り越しが現物供給超過
1月20日調査の米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉報告によると、ショートサイドの圧力の強さが明らかとなった。
主に銀行やディーラーで構成される商業筋は、9万112枚のショートと4万3723枚のロングを保有。ネットのショートポジションは4万6389枚、約2億3100万オンスとなった。
Sponsored Sponsoredこのネットショートは、納品可能な登録済み在庫1億800万オンスの2倍を超えている。強気な買い手が現物受け渡しを強く主張すれば、ショート筋はひっ迫する市場で現物調達を迫られ、さらなる価格上昇につながる可能性がある。
バックワーデーションとロール逆転が示す市場の緊張
銀市場は10月初頭からバックワーデーション(現物価格が先物価格を上回る状態)が続く。この市場構造は、現物需要が供給を大きく上回っていることを示すもので、通常の市場ではほぼ見られない。
アナリストは、3月限や2月限から1月限への先物転がしが相次いでいると指摘する。この異例の動きは、ロング保有者が納品の先延ばしを望まず、早期納品を求めていることを示している。
1月だけで9608枚(4800万オンス)が現物納品指定されている。これは現在の登録済み在庫の45%近くに相当する。
Sponsored Sponsored太陽光発電業界に逆風
供給ひっ迫には産業用需要の旺盛さも拍車をかけている。銀は現在、太陽光パネル製造コストの29% を占めており、昨年の14%、2023年の3.4%から大幅に増加した。
この急騰により、銀は太陽光発電装置製造コストで最大の材料となり、アルミニウム、ガラス、シリコンを上回った。中国の大手メーカー、トリナ・ソーラー、ジンコソーラーなどは、2025年と2026年に赤字計上の見通しを投資家へ警告している。
これに対しロンジ・グリーンエナジーは、2026年第2四半期から銅ベースの太陽電池を量産すると発表した。ただ、業界アナリストによれば代替素材への移行には年単位で時間を要するため、当面は現物銀への需要が極めて強い状況が続く。
Sponsored金は相対的に安定推移
一方、金市場には同様の懸念は見られない。COMEX金倉庫在庫の合計は3590万オンス、そのうち登録在庫は1880万オンス。未決済建玉は52万8004枚(5280万オンス)であり、カバレッジ比率は35.7%、銀の2倍以上である。
金先物は通常通りコンタンゴ(先物価格が現物価格を上回る状態)で推移。在庫の増減も非常に小幅である。
見通し
銀市場の構造的な供給不足は、シルバー・インスティテュートの報告によれば5年連続で続いている。地上在庫の減少は止まらず、リースレートは高騰し、世界各地で現物プレミアムも拡大。さらなる価格高騰を支える土壌が整っている。
ただし、こうした過熱市場は利益確定売りが加速する局面や、取引所によるポジション制限や証拠金引き上げなどの介入があれば、急激な調整リスクも高い点に留意が必要である。