FIFAワールドカップ2026のグループステージ組み合わせ抽選会が現地時間5日に行われ、サッカー関連の暗号資産(サッカートークン)への関心が再び高まっている。クラブ公式ファントークンの基盤となる銘柄や、選手カード型のWeb3ゲームを支えるトークンなど、用途の異なる銘柄に投資マネーが分散する動きがみられる。市場では、実需の有無と利用者基盤の拡大が相場形成に与える影響が注目されている。
1 Chiliz(CHZ)―クラブ公式トークン基盤として存在感
サッカートークンの代表格とされるのがChiliz(CHZ)である。ヨーロッパの主要クラブが導入する公式ファントークンの基盤技術として用いられ、クラブ組織の投票機能やイベント参加権の提供など、一定の実需が確認されている。2025年は主要クラブのプロモーション活動が再開し、ファントークン発行体のソシオス・ドットコムが運営するプラットフォームでの取引量が増加したとの報告もある。
国内外の市場関係者からは、W杯イヤーを前にサッカーコンテンツ全体の需要が高まることで、関連トークンの利用機会が拡大するとの見方が出ている。一方で、クラブ側の運営方針や市場心理の影響を受けやすい点には注意が必要だ。
Sponsored2. TopGoal(GOAL)―選手カード型Web3ゲームの拡大余地
選手カードNFTを用いたWeb3ゲームを展開するTopGoal(GOAL)にも投資家の関心が集まっている。選手のプレースタイルを反映したカードを用いて対戦する仕組みで、ゲーム内の需要がトークン価格に影響しやすい構造を持つ。2025年は有名選手との共同企画やオンライン大会の拡充が進み、ユーザー基盤の国際化が進んだと指摘される。市場では、W杯2026の代表選考や大会本番の注目度が選手カードの需要を押し上げ、ゲーム経済に波及する可能性があるとみる。ただし、NFT市場の変動やゲーム運営の継続性がトークン価値に影響するため、不確実性の高い領域でもある。
3. MetaSoccer(MSU)―Web3ネイティブのクラブ運営ゲーム
MetaSoccer(MSU)は、サッカークラブの経営シミュレーションをWeb3環境で提供するプロジェクトである。選手獲得、育成、試合運営といった機能を備え、NFT化された選手や施設の価値がゲーム内外で取引される。2025年は新規ユーザーの流入が続き、特にアジア圏での参加者が増えたとされる。W杯開催を機に、ゲーム内リーグや独自大会を拡大する動きもみられ、コミュニティ主導のイベントが増加した。ただし、利用者数と経済圏の持続性が今後の焦点となっており、他のGameFiと同様、外部市場環境の影響を受けやすい側面が残る。
《番外編》Sorare(ソラーレ)―世界最大級のサッカーNFTゲームだがトークンなし
サッカーNFTゲームとして世界最大級の利用規模を持つSorareは、独自トークンを発行していないため本稿の比較対象外とした。ただし、欧州5大リーグや各国代表チームを含む広範なライセンス網を背景に、W杯シーズンにはユーザーの急増がみられる。競技データと連動したゲーム性は独自性が高く、市場全体の動向を捉えるうえで重要な指標となる。
なお、2026年北中米ワールドカップ(W杯)は2026年6月11日から7月19日にかけて開催される。日本代表はオランダ、チュニジア、そして欧州プレーオフB勝者(ウクライナ、スウェーデン、ポーランド、アルバニア)と同組のグループFに入った。