2026年、トロン(TRX)は最大手ステーブルコインであるテザー(USDT)の主要インフラ・ネットワークとしての地位をさらに強化している。TRON上のUSDTの時価総額は過去最高となる853億ドルを突破した。
同時に、エージェンティック決済システムの新たな動向が、TRXへの需要拡大を後押しする可能性もある。
毎週1兆6000億ドルのステーブルコイン送金がTRX需要を押し上げ
直近では、テザーがTRONネットワーク上で追加のUSDTを10億ドル分ミントした。これにより、TRON上に流通するUSDTの総供給量は853億ドルとなり、イーサリアムを上回った。この節目はトロンのステーブルコイン分野における優位性を改めて示すものとなった。
TRONにおけるすべてのステーブルコインの時価総額合計は、866億ドルを突破し、過去最高となった。
Artemis Analyticsのデータによれば、ステーブルコイン送金量とTRX価格には明確な相関関係がある。
過去3年間で、週あたりのステーブルコイン送金量は大幅に増加した。80億ドル未満から1600億ドルまで拡大し、100%の増加となる。
ステーブルコイン取引量の急増に伴い、TRXの価格も上昇した。この成長は2024年末から2025年~2026年にかけて特に顕著となった。この期間、トロンはUSDT送金を年間数兆ドル規模で処理。2025年だけで、ネットワークは7兆9000億ドルのステーブルコイン送金量を達成した。
トロンはイーサリアムのようなガスモデルを採用していない。代わりに、リソースの測定・割当にはBandwidth(帯域幅)とEnergy(エナジー)に基づく仕組みを利用する。
ユーザーは追加のBandwithやEnergyを得るためにTRXをバーンする必要がある。これらのリソースはネットワーク上での取引実行(ステーブルコイン送金を含む)のために不可欠。
そのため、ステーブルコイン取引の需要はTRX需要に直接影響する。DefiLlamaのデータによると、トロンの収益(取引手数料としてバーンされたTRX量)は、24時間・7日間・30日間で市場をリードし、イーサリアム、ソラナ、BNBチェーン、Baseなどの競合を上回る。
さらに、トロンDAOはLinux Foundationによるプロジェクト「Agentic AI Foundation」への参加を発表。「ゴールドメンバー」かつ理事会代表として参画する。組織の注力分野は、エージェント型AI(agentic AI)と呼ばれる自律型AIシステムのためのオープンインフラの構築。
「AIにはリアルタイム決済が不可欠。トロンは大規模なステーブルコインの移動先だ」 — ジャスティン・サン創設者、コメント。
トロン上の膨大なステーブルコイン流動性と、AIインフラの拡充が融合すれば、新たな用途を生み出す可能性がある。この流れがネットワーク需要の増加、TRX価値の向上につながる可能性もある。
3月には、さらなる大きな進展も見られた。米証券取引委員会(SEC)がトロン財団およびジャスティン・サン創設者に対して提起した訴訟は、正式に終結。裁判官が最終判断を承認し、全ての訴えを永久に棄却した。
この解決により、2023年以来続いた法的懸念が取り除かれた。これが投資家の信頼回復や、TRXへの新規資金流入につながる可能性もある。
こうした好材料がある一方、投資家は依然としてアルトコインの保有に慎重姿勢を崩していない。BeInCryptoのデータによると、TRX価格は前年8月から約20%下落し、現在は0.29ドル前後で推移している。
ただし、ステーブルコイン分野の活発な動き、AIインフラの進展、法的リスクの解消が売り圧力を吸収し、TRX価格の回復を後押しする可能性がある。