ステーブルコイン最大手テザーが、暗号資産ビットコインの保有を拡大している。2025年末に8888BTCを追加取得し、保有残高は約9.6万BTCに達した。公開データ上、同社は世界で5番目に大きなビットコイン保有主体となる。価格変動が続く市場環境下でも、事業利益の一部を用いたビットコイン積み増し戦略を継続している点が注目される。
テザー、ビットコイン保有を継続的に拡大
米ドル連動型ステーブルコインUSDTを発行するテザーは、2025年末までに8888BTCを追加取得した。これにより同社のビットコイン保有量は約9万6000BTCとなり、ブロックチェーン上の公開データに基づく推計では、世界で5番目に大きなビットコイン保有主体に位置付けられる。取引所ウォレットを除けば、事業会社としては異例の規模である。
同社は四半期ごとの利益の一部をビットコイン取得に充てる方針を掲げており、今回の取得もその枠組みに沿ったものとされる。取得数量は象徴性のある「8888BTC」とされ、市場では戦略の継続性を示す動きとして受け止められている。
事業資産としてのビットコイン位置付け
テザーはビットコインを短期的な売買対象ではなく、準備資産および長期的な価値保存手段の一部として位置付けている。ステーブルコイン発行体は通常、米国債などの流動性資産を中核に据えるが、同社は暗号資産や金といった非伝統的資産の比率を段階的に高めてきた。
2025年を通じて、ビットコイン価格は米金融政策やETF資金動向の影響を受けて変動が続いたが、テザーは市況に左右されにくい積立型の取得を維持した。こうした姿勢は、ビットコインを「投資対象」ではなく「事業資産」として扱う企業の増加という潮流を反映している。
価格低迷期の購入を巡る市場解釈
2025年はビットコイン価格が通年で調整局面にあり、第4四半期には20%超の下落局面もあった。こうした環境下でテザーが四半期利益の15%を原資に8888BTCを取得した点について、暗号資産アナリストの間では長期戦略を示す動きとの解釈が広がっている。
暗号資産市場ストラテジストのCryptoVerseXX氏は、Xへの投稿で「テザーの購入は単なる価格下支えを狙った買いではなく、ビットコインをデジタル世界の究極の準備資産として位置付ける明確な自信の裏付けだ」と指摘した。
その上で、約7億7900万ドル規模に相当する継続的な取得が、機関レベルの需要として現物市場の供給を吸収し、ビットコインのグローバルな準備資産としての地位を補強しているとの見方を示している。価格低迷局面で企業主体が保有を積み上げる構図は、過去の全面的な弱気相場とは異なる需給構造を映し出しており、市場の底堅さを測る一つの材料として注目されている。