調査会社ファンドストラット・グローバル・アドバイザーズの共同創業者トム・リー氏は、AIバブル到来はまだ数年先との見方を示した。同氏はAI分野への支出を30兆ドル規模とし、1990年代のインターネット構築に類似すると指摘。2033年ごろにピークを迎えるとの見通しを明らかにした。
リー氏はTOKEN2049シンガポールで講演し、ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者レイ・ダリオ氏がAIを「典型的なバブル」と位置付けたことに言及した。リー氏は、バブル論が広く語られる現状こそ、バブルでない証左だと述べた。
トム・リー氏がAIバブルのピークを2033年と見る理由
リー氏は、現在のファンドマネージャーの多くがドットコムバブルや2008年の金融危機を経験していないと指摘した。
「皆がバブルだと考えている時に、本当にバブルだったことは今まで一度もない」
トム・リー氏(ファンドストラット・グローバル・アドバイザーズ共同創業者)、TOKEN2049シンガポールで登壇。
同氏が根拠とするのはコストだ。インターネット、モバイルネットワーク、端末のインフラ整備費用は2026年時点で約35兆ドル規模と試算。AIインフラ投資もおよそ30兆ドルと見積もった。
一方で、マッキンゼーは2025年4月、AI用データセンターの投資額が2030年までに5兆2000億ドルに達すると予測している。
リー氏はシスコ株が2000年3月まで上昇し、その前に2度50%の下落を経験したと指摘。その後、株価は最高値から9割近く下落したと強調した。
これらの経緯から、リー氏はAIの現在地を1997年になぞらえる。無線通信は25年かけて指数関数的に成長し、株価は10年目にピークを迎えたとして、2033年を1つの山場とする。
また、リー氏によれば、新たな流動資産が年約7兆ドル増加しており、これはAI投資に十分使える資金だという。
負債はAI投資家の計算を変えるのか
ダリオ氏のAIバブル警告は借り入れ増大を懸念した内容だ。金利上昇に伴い、含み益を持つ投資家が利益確定に動き、その売却がバブルを潰すと指摘する。
ダリオ氏は、市場がその段階に近づいていると分析。AIへの不安は既にアジア市場にも影響し、10月13日にはアジア株の下落で8000億ドル超が吹き飛んだ。
両者の見解は資金調達方法で分かれる。リー氏はAI関連支出を初期投資サイクルとみなす一方、ダリオ氏は借り入れがバブル崩壊を誘発するとみる。両者とも同じ支出規模が前提だが、その原資がキャッシュフローか信用かに注目している。









