ホワイトハウスに専任の暗号資産政策責任者が不在となった。これは、トランプ米大統領がJD・バンス副大統領に新たな「詐欺対策責任者(フロード・ツァー)」としての執行権限を与えたわずか数日後の動きである。
トランプ米大統領は、Truth Socialを通じてバンス副大統領の起用を発表した。同副大統領に対し、青い州(民主党支持州)で前例のない納税者詐欺への対応を指示したという。この動きは、デイビッド・サックス氏が3月26日に密かに暗号資産担当「ツァー」の職を退いた後に起きた。
サックス氏退任、後任指名なし
サックス氏は、自身が特別政府職員としての130日間の上限を使い切ったことを認めた。退任は辞任でも解雇でもない。連邦法では特別政府職員としての任務は12か月間で130日に制限されている。
ホワイトハウスは後任を指名しないことを認めた。サックス氏は大統領科学技術諮問委員会(PCAST)の共同議長へと異動した。同諮問委員会は提言をまとめるが政策執行権は持たない。
委員会には、マーク・ザッカーバーグ氏、ジェンセン・ファン氏、マーク・アンドリーセン氏も参加している。
同氏の退任により、CLARITY法案は上院で停滞し、暗号資産の市場構造に関する法案も未完成のままとなっている。
バーニー・モレノ上院議員は、法案が5月までに上院本会議に提出されなければ、中間選挙後まで審議が止まる可能性があると警告した。
ヴァンス氏、不正行為に焦点
一方、トランプ米大統領による「フロード・ツァー」任命により、バンス副大統領は政府支出の監督に特化した権限を与えられた。
トランプ米大統領は、カリフォルニア州、イリノイ州、ニューヨーク州、ミネソタ州、メイン州を主要な標的として挙げ、回収した資金で連邦予算の均衡も可能だと主張した。
連邦当局による家宅捜索がすでにロサンゼルスで始まっており、ヘルスケア詐欺で5000万ドル規模の逮捕者が出ている。
両職は所掌範囲が異なる。しかし、その対比は注目に値する。
政権は財政不正対策へ執行リソースを投入する一方で、暗号資産政策の空席を決定的な法制定期に残す形となっている。