トランプ氏の暗号資産政策＝金融危機のレシピと仏中央銀行総裁

フランス中央銀行フランソワ・ヴィルロワ・ド・ガロー総裁は17日、トランプ米大統領の暗号資産支持に警鐘を鳴らした。同氏は、その政策が次の世界金融危機の種をまく可能性があると警告した。

トランプ氏の暗号資産支持の姿勢は、2024年11月の大統領選挙に向けて始まった。大統領選挙のためのマニフェストで宣言した政策は、デジタル資産支持者が反暗号資産政権を排除しようとする中で、再選に大きく貢献した。

フランス中央銀総裁がトランプ政策に警鐘

フランスの地元メディアとのインタビューで、ド・ガロー氏は、米国政府の暗号資産とノンバンク金融の推進が深刻な経済混乱を引き起こす可能性があると懸念を表明した。

「金融危機はしばしばアメリカで始まり、世界に広がる。暗号資産とノンバンク金融を奨励することで、アメリカ政府は将来の混乱の種をまいている」と同氏は述べた。

この批判は、トランプ氏が最近発表した戦略的ビットコイン備蓄とデジタル資産の備蓄を創設するための大統領令に続くものだ。この動きと同氏の暗号資産支持の姿勢は、金融専門家の間で物議を醸しており、世界市場を不安定にする可能性があると懸念されている。

特に、ド・ガロー氏の警告は、トランプ氏の大統領令によって引き起こされた市場の大幅な下落の後に出された。先週、ビットコインは8万5000ドルを下回り、暗号資産市場全体で2.5億ドルの清算を引き起こした。この突然の売りは、デジタル資産の本質的なボラティリティを浮き彫りにし、政府支援の暗号資産投資のリスクに対する新たな懸念を引き起こした。

さらに、トランプ氏はOperation Choke Point 2.0を覆すための大統領令を計画していると報じられている。この規制政策は暗号資産企業の銀行アクセスを制限している。この政策を覆すことで、トランプ氏は暗号資産を伝統的な金融（TradFi）システムにさらに統合しようとしている。しかし、批評家はこれが銀行や投資家に前例のないリスクをもたらす可能性があると主張している。

欧州、安定性を推進

一方、ド・ガロー氏は、ヨーロッパがより慎重になり、米国の政策からの影響を避けるために金融の安全策を強化する必要があると強調した。カナダへの新しい関税を超えて、フランスにとっての主要な懸念は、欧州連合に対して課された25%の関税である。

「我々は決定を下し、非常に近いうちに発表する予定だ。それは一般的に25%であり、それは車やその他すべてのものに適用される」とトランプ氏は最近の閣議で述べた。

この状況を背景に、ド・ガロー氏はユーロの世界的な役割を強化する重要性を再確認した。具体的には、国際投資家を引き付けるために強力な貯蓄と投資の連合を確立するよう国に呼びかけている。

「トランプ大統領は、世界経済がゼロサムゲームであるという誤ったビジョンを抱いているようだ…彼はそれをモノポリーボードのように見ており、貿易赤字に固執している…我々はこの残酷さに対して受動的または不可避的に反応するのではなく、意志を持って対応しなければならない…我々は間違いなく交渉の立場に立つために力の均衡を確立する必要がある…この機会を逃さず、ヨーロッパを目覚めさせ、強化しよう」と同氏は付け加えた。

トランプ大統領の暗号資産支持の政策が金融セクターを再編し続ける中、世界の指導者たちはその潜在的な影響について意見が分かれている。市場のボラティリティが高まり、規制の不確実性が増す中、国の経済における暗号資産の将来に関する議論はまだ決着がついていない。