ビットコイン(BTC)は、3月最終週を6万7400ドル付近で迎えている。今週は米国の経済指標が目白押しで、主要暗号資産が2カ月続いたもみ合いを抜けて上放れするのか、それとも弱気相場に深く突入するのかが占われる展開。
発表される6つの経済指標は、労働需要、消費者の動向、FRBの指針に関するもの。それぞれが2026年の暗号資産市場において最大のマクロ要因となりつつある利下げ期待に直結する。
パウエル氏が基調示す、ビットコインはもみ合い
パウエルFRB議長は、月曜午前10時30分(米東部時間)に登壇予定。市場は高い影響力を持つイベントとみなしている。
発言テーマの事前告知はないが、市場関係者は発言の全てからヒントを探る構え。年内にFRBが利下げ余地を認めるかどうかに注目する。
背景には緊張感が漂う。FRBは3月17〜18日の会合で政策金利を3.50〜3.75%に据え置き、最新のドットチャートでは2026年の利下げは1回のみと示唆した。
パウエル議長は、インフレ抑制が期待よりも進まず、サービス価格の高止まりが継続的な懸念だと認めた。
パウエル議長の発言がハト派寄り、特に労働市場の冷え込みを早期利下げの根拠とする内容なら、安堵感からの上昇につながる可能性がある。
逆にタカ派色が強まれば、ドル高・米国債利回り上昇という方向となり、暗号資産へのリスク選好を抑制する要因となる。
ビットコインは、2025年末の過去最高値12万6000ドルから急落した後、3月はおおむね6万5000〜7万6000ドルのレンジで推移している。
現物ビットコインETFは、3月初旬に7日連続で14億7000万ドルの資金流入を記録した。しかし、FOMC後は再び流出超に転じた。
CMEのFedWatchツールによると、4月会合で金利が据え置かれる確率は96%。一方で利上げの可能性も徐々に高まっている。
こうした状況下では、月曜朝のFRB発言のトーン変化にビットコインが敏感に反応する展開。
米経済指標、労働需要と消費者信頼感を試す
火曜午前10時(米東部時間)には2つの主要指標が同時に発表される。
- JOLTS求人件数
2月JOLTS求人件数は、労働需要の減速傾向が継続したかを示すデータ。市場予想は約700万件で、1月の695万件をやや上回る見通し。
JOLTSは、FRBが労働市場の引き締まりを測る際に重視する指標。求人減少は企業の雇用意欲鈍化を示し、賃上げ圧力が緩和することで利下げ論拠を強化する。
700万件を下回る結果なら、2025年半ばから続く冷え込みトレンドが裏付けられ、利下げ期待が高まりビットコインに好材料となる見通し。
- 消費者信頼感
カンファレンスボードが発表する3月の消費者信頼感指数も同時に公表。予想値は88.0で、前回の91.2から低下する見通し。
米国の個人消費はGDPの約70%を占める。信頼感の急低下は、支出意欲の減少傾向を示唆。
暗号資産市場にとって、期待を下回る消費者信頼感と弱含みのJOLTSが重なると、次の日へ向けてハト派的な利下げ期待が高まる。これは歴史的にリスク資産価格を押し上げる要因となってきた。
雇用統計発表前の水曜リハーサル
水曜日発表の2指標は、金曜の本番イベントの前哨戦となる見通し。
- ADP非農業部門雇用者数
3月ADP非農業部門雇用者数は午前8時15分(米東部時間)発表。市場予想は民間部門で6万3000人増。
ADP指標は最近、労働統計局(BLS)の公式数値と乖離しているものの、大きなサプライズがあれば市場を動かす。
- 小売売上高レポート
東部時間8時30分、延期されていた2月の小売売上高レポートが公表される。市場コンセンサスは、1月の0.2%減少に続き、前月比0.4%増を見込む。
これは消費者支出を最も直接的に示す指標であり、原油価格高騰とセンチメントの低下にもかかわらず、家計が購買力を維持できたかどうかが明らかになる。
ADP雇用統計と小売売上高の両方が予想を下回れば、景気後退懸念が強まり、利下げ期待の再燃によりビットコインは6万8000~7万ドルまで下落する可能性が高い。
両方とも予想を上回れば、「経済の回復力」説を後押しし、米国債利回りとドル高を促す一方でBTCには下押し圧力がかかる。
この力学はビットコインにとって両刃の剣である。軟調なデータは金融緩和への期待を高め、流動性の増加が見込まれるが、弱さが顕在化し景気後退懸念が拡大すれば、リスク資産全体の売りが強まり、暗号資産も株式とともに下落へ向かう可能性。
3月雇用統計が休場中の市場に発表
金曜日発表のBLS雇用統計は週内最大の注目イベントである。金曜8時30分(東部時間)に発表される。
これはグッドフライデイのブームの中で発表されるため、先物市場が反応する一方、現物株取引は月曜まで再開しないという異例の環境となる。
ファクトセットのコンセンサスは非農業部門雇用者数(NFP)プラス4万5000人を見込む。2月のマイナス9万2000人からの控えめな反発である。
失業率は4.4%から4.5%へ上昇、平均時給は前月比0.3%、前年比3.8%が予想されている。
2月のレポートは2020年12月以降で最も弱い内容だった。継続中のストライキの影響で医療分野は2万8000人減少、連邦政府の雇用も1万人減、過去数カ月分の数字も大きく下方修正された。この発表で株式・暗号資産ともに動揺し、BTCは一時7万ドル近くまで下落した後、安定した。
非関税導入前の月間平均は約18万人であったため、5万~6万人程度への反発は「回復」ではなく「安定化」と解釈される。この結果であれば利下げへの期待は大きく変化せず、ビットコインもレンジ内での推移となる見通し。
重要なのはこの先のリスクである。もし再び雇用が減少すれば、景気後退への懸念が強まり、利下げ期待があったとしてもBTCは6万2000~6万3000ドルに下落する可能性。
一方、10万人超の強い増加と賃金上昇が重なれば、「高金利長期化」懸念が再燃し、ドル高・暗号資産下落の圧力となる。