ビットコイン市場が米国の政治リスクという新たな試練に直面している。米議会は1月30日の資金供給期限を前に、政府閉鎖(シャットダウン)回避に向けた協議を続けているが、合意形成の見通しはなお不透明。1月相場は上昇基調が持続せず、投資家心理も悪化するなか、マクロ環境の不確実性が暗号資産市場の変動性を一段と高めている。
過去の局面を振り返ると、ビットコインは米政府閉鎖時に安全資産として機能した実績は乏しく、リスク回避資産としての役割は限定的だった。むしろ価格動向は、金融市場全体の地合いや既存の市場モメンタムに連動する傾向が強く、今回の政治リスク局面においても、暗号資産市場はマクロ経済環境の影響を色濃く受ける展開となりそうだ。
米政府機関閉鎖が再浮上する背景
今回の政府閉鎖リスク再燃は、議会が2026会計年度の複数の歳出法案を最終決定できていないことに起因する。一時的な資金供給は1月30日に失効予定。特に国土安全保障省の予算を巡る協議が停滞している。
Sponsored議会が期限までに新たなつなぎ予算案か通年の予算案のいずれかを可決しなければ、政府の一部機関は即座に閉鎖を開始する。本稿執筆時点で、1月30日はバイナリーなマクロイベントとして市場に意識されている。
2026年1月のビットコイン価格動向は既に市場の脆弱性を反映している。中旬には一時、9万5000〜9万8000ドル台に接近したが、維持できず急反落した。
政府機関閉鎖とビットコインの明確な傾向
ビットコインの米政府閉鎖時の歴史的パフォーマンスを見る限り、上昇傾向のストーリーを裏付ける要素は乏しい。
過去10年間で発生した4回の政府閉鎖のうち、3回はビットコイン価格が下落もしくは既存の下落トレンドが強まった。
Sponsored Sponsored唯一、2018年2月の短期間の閉鎖時のみ上昇した。しかしこの動きは、閉鎖そのものというより、テクニカル面での売られ過ぎ反発によるものだった。
大局的な傾向も変わらない。政府閉鎖は価格方向性を決めるというより、ボラティリティの触媒として作用する。ビットコインは通常、それまでのトレンドを増幅させ、反転はしづらい。
マイナー指標にストレスの兆候
直近のオンチェーンデータも警戒感を強めている。CryptoQuantによれば、米国拠点の大手マイニング企業が冬の嵐による電力制限を受け、ここ数日で生産量を大幅に減らした。
クリーンスパーク、ライオット・プラットフォームズ、マラソン・デジタル、IRENなど各社でビットコインの1日当たり生産量が大きく減少した。生産減は短期的に売却圧力を緩和するが、セクター全体の事業運営にストレスがかかっていることも示す。
Sponsoredこれまでのところ、マイナーの供給制約だけでは、市場全体のマクロ要因による売り圧力を打ち消すには至っていない。いま需要の強さを示すサインは弱いまま。
確定損失が増加傾向
ネット実現損益(NRPL)データも慎重な見方を裏付けている。ここ数週間は実現損失が増加傾向にあり、2025年初のような大規模な利益確定の急増は見られなくなった。
これは投資家が自信を持って資金を循環させるのでなく、不利な価格で撤退していることを示す。こうした動きは通常、相場終盤の分配・リスクオフ局面と一致し、蓄積フェーズとは対照的である。
こうした文脈では、マイナス材料のヘッドラインが上昇相場よりも下落のボラティリティを加速させやすい。
Sponsored Sponsored1月30日のビットコイン動向予測
もし1月30日に米政府が閉鎖となった場合、ビットコインはヘッジ手段というよりリスク資産として反応しやすいだろう。
最もあり得るのは短期的な急激な値動きと下方バイアス。1月の安値を試す展開は、過去の閉鎖時や現状の市場構造とも一致する。反発があってもテクニカル要因によるものにとどまり、流動性環境の大幅な改善がない限り短命とみられる。
閉鎖リスクだけを根拠とした大幅上昇は考えにくい。これまでビットコインは同時期に資金流入やセンチメントの好転がなければ、閉鎖時に上昇することはほとんどなかった。
ビットコインはいま、強い立場で閉鎖リスクに臨んでいるとは言えない。ETFからの資金流出、実現損失の増加、マイナーの苦境、そして強いレジスタンスの突破失敗など、慎重姿勢を示す材料が揃う。
1月30日が近づくにつれ、政府閉鎖リスクは、既に脆弱な市場の信認をさらに試すストレステストになりそうだ。
現時点では、これまでの歴史やデータから、ビットコインの動向は既存の勢いを反映する展開になる。