FTXは返済手続きの最終段階に入り、16億ドルを債権者に返済する準備を進めている。
金額自体は限定的だが、米国政府閉鎖の可能性が市場心理に影を落とす中、重要な防御策となり得る。
暗号資産投資家に16億ドルの流動性が還元
FTX最大債権者グループの責任者であるスニル・カブリ氏によれば、返済によって5万ドル未満の請求を持つ小口債権者は元本の120%以上を回収できる見通しだ。
Sponsored一方、5万ドル超の請求を持つ債権者は、追加で72.5%を回収し、総回収率は78.2%となる。これには5月30日に支払われた5.7%分が含まれる。
米国の顧客向けの返済率は40%と見積もられるのに対し、世界全体の顧客向けの総返済率は95%に達する。分配はBitGo、Kraken、Payoneerを通じて行われる予定だ。
必要な流動性の注入
カブリ氏はXで「50億ドルの返済という主張は根拠がない」と否定。一方で、アナリストの一部は、FTXから解放される新たな流動性がラリーを誘発する可能性に期待している。返済資金が暗号資産への再投資に回る可能性があるためだ。
アルトコイン市場はこの追加流動性に注目している。9月18日から28日にかけて小規模な「アルトコインシーズン」が観測されたばかりで、本稿執筆時点のCMCアルトコインシーズン指数は63となっている。指数が75を超えると「本格的なアルトシーズン」とされる。
「アルトシーズンは目前に迫っている。FTXは市場に数十億ドルを注入する。返済資金は市場に再投入され、通常これがアルトシーズンの始まりだ」と暗号資産インフルエンサーのアジェイ・カシャップ氏はXで語った。
返済時期は、米国政府閉鎖リスクと重なる。9月30日までに議会が2025年度予算で合意に至らなければ、10月1日午前0時1分(EST)から大半の連邦政府業務が停止する。
政府閉鎖は市場の不確実性を増し、暗号資産市場の売り圧力につながる可能性がある。FTX返済による流動性流入は、こうした悪影響を和らげる要因となり得る。