ワールドコイン(WLD)が9月のAI関連暗号資産セクターで注目を集めている。しかし、興味深い現象が起きている。WLDの時価総額は過去最高値を更新した一方、価格は横ばいを続けているのだ。
この一見矛盾する動きの背景には何があるのか。また、投資家にとって何を意味するのか。本記事では、この現象の謎を解明し、今後の投資判断に必要な情報を提供する。
WLD価格上昇、トークンロック解除のペースに追いつかず
SponsoredBeInCryptoのデータによると、WLDの現在価格は約1.77ドルである。一方、2024年3月に記録した約12ドルの高値に到達するには、約6.6倍の上昇が必要となる。
ところが、WLDの時価総額は既に急拡大を続けており、2024年3月の1億7400万ドルのピークを大幅に上回る35億8000万ドルに達している。
これにより、投資家が見落としがちなパラドックスが生まれる。時価総額は急上昇しているが、トークン価格は遅れている。この状況は、プロジェクトの真の健全性や保有者にとっての潜在的なリスクについて疑問を投げかける。
その説明は供給の動態にある。2024年には、WLDの供給のうち13%、約13億トークンが流通していた。CryptoRankのデータによれば、流通供給は2025年9月には20%に増加し、20億トークンに達している。
エイトコ・ホールディングスは、ワールドコインを中心とした2億5000万ドルの企業財務戦略を発表した。この発表により、時価総額は1週間足らずで倍増した。
その結果、時価総額は新たな高値を記録したが、価格は以前のピークを大きく下回ったままである。WLDの価格上昇は、ロック解除スケジュールに追いつけないようだ。
WLD、トークンロック解除の加速段階に突入
SponsoredWLDのロック解除チャートは、2028年末まで加速フェーズに入ることを示している。チャートの急な傾斜がこのトレンドを示している。
これにより、将来の希薄化リスクについて投資家の懸念が高まっている。
「ワールドコインの$WLDロック解除スケジュールは厳しい:2038年までに10億以上のWLDが市場に出る。供給の大部分がまだロックされているため、将来の希薄化リスクは大きい」と投資家のStan_Cryptoは述べた。
WLDのロック解除ペースに関する懸念は新しいものではない。プロジェクトは昨年、1日あたりのロック解除を約330万から200万に減らすよう計画を調整した。それでも懐疑的な見方は続いている。
さらに、Santimentのデータによれば、売り圧力が上昇している。WLDはまた、9月9日に取引所へのトークン流入が1年ぶりの高水準である3750万WLDに達した。
この動きは、高い価格と強い流動性を利用して利益を得ようとする試みを示している。
ワールドコインのパラドックスは、暗号資産市場のより広範な特徴を反映している。時価総額の成長が必ずしも安定したトークン価格に結びつくわけではない。投資家は、プロジェクトに参加する前にロック解除スケジュールと希薄化リスクを慎重に評価すべきである。