Zcash、ヘイズ氏の支持も価格膠着続く理由

Zcash価格は過去数週間にわたり明確な方向性を見いだせずにいるが、3カ月間では600パーセント以上上昇している。仮想通貨市場の他の一部が小幅な反発を試みる中で、このトークンは横ばい推移が続く。

これは、暗号資産業界の著名人が新たに注目したにもかかわらずの動きである。最近のインタビューで、アーサー・ヘイズ氏はZcashの設計について好意的な見解を示した。

それでも、ZEC価格の動きには日次で約4パーセントの上昇があったものの、依然としてためらいが感じられる。トレーダーは、直近のサポートが重要か、それともチャートの動向が先に決まるのかを見極めている。

アーサー・ヘイズ氏がプライバシーモデルに言及

アーサー・ヘイズ氏はBitMEX共同創業者であり、暗号資産市場では著名な存在だ。同氏は、カイル・チャス氏との最近のインタビューで、プライバシー系コインに対する自身の見方が時を経て変化した理由を説明した。

かつてモネロが最も強力なプライバシー手段と見なされていたが、新たなデータやアップグレードにより考えが変わったと同氏は述べた。特にZcashのシールドトランザクションや暗号技術の進展について強調した。

「それが、プライバシー系コインについて話す際に、モネロ派からZcash派へ移った理由の一つだ」と同氏はインタビュー30分頃に語った。

ここで重要なのは文脈である。ヘイズ氏はZcashの価格目標については語っていない。買い手が急いで参入するべきだとも述べていない。発言は技術と設計に関するものであり、タイミングや市場の話ではなかった。

この違いが、価格が未だ反応していない理由となっている。

Zcash価格が反応しない理由

アーサー・ヘイズ氏の注目にもかかわらず、Zcash価格は大きく動いていない。その理由はチャートを見れば明らかである。

まず、弱気のEMAクロスが形成されつつある。EMAとは指数平滑移動平均線のことだ。平均価格を示すが、直近の動きに比重を置く。

20日線が50日線を下回る場合、通常は短期的に売り手優勢とされる。現在、20日EMAが50日EMAを下回る寸前であり、これがトレーダーの警戒感につながっている。

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次に、オンバランスボリューム（OBV）が価格を下支えしていない。OBVは資金の流入・流出を示す指標だ。12月12日から18日にかけてZcash価格は下落し、OBVも弱まった。買い手がまだ積極的に入っていないことを示唆する。OBVが上昇しなければ、反発が持続せず、下落も反転しにくい。

これらを総合すると、状況は明らかだ。EMAのクロスは短期圧力を警告し、OBVは買い手の弱さを示す。Zcash価格は膠着状態にあり、明確な方向が定まるのを待っている。

アーサー・ヘイズ氏のコメントは長期的な自信を与えるが、現状ではトレーダーがテクニカルな根拠を見極めている。出来高がともなって買い圧力が現れるまでは、価格の方向感は定まらないだろう。

Zcashの今後の価格動向を左右する要因

大口資金の流れが最も重要なヒントとなる。CMF（チャイキンマネーフロー）指標は、12月11日から18日にかけて上昇しているが、ZEC価格は調整局面にあった。このパターンは、大口保有者が価格の弱さにも関わらず関心を示していることを意味する。

ただし、CMFは依然ゼロラインを下回っている。ここが重要だ。ゼロを上抜けると実際の買いを示す場合が多い。過去の例では、11月初旬のようにCMFがこの水準を超えた際、価格が大きく上昇した。

Zcashの場合、重要水準は明確だ。日足で434ドルを明確に上抜けると、買い手が再び主導権を握ることを示す。その場合、次の重要ゾーンは516ドル付近となる。

下落局面では、371ドルが最初の重要なサポートとなる。この水準を下回ると、売り手は過去に買い需要が見られた301ドル付近まで価格を押し下げる可能性がある。