暗号資産の老舗プライバシーコインであるZcash(ZEC)は、急騰の後わずか2日で17%超の急速な調整を見せた。
それでもデータは、Zcashの存在意義と物語がいまだ消えていないことを示唆している。
SponsoredZcashの変動性が議論を呼び、プライバシーコインが再び脚光を浴びる
Messariのデータによれば、ZECの価格は過去1か月で240%上昇し、社会的・分析的注目度を示す「マインドシェア」は804%急増した。
同時に、GoogleトレンドでもZcashの検索関心度が5年ぶりの高水準に達しており、プライバシー重視型暗号資産への関心が再燃している。
X(旧Twitter)上の投資家心理は、今回の下落を「急騰後の自然な利益確定」と見ており、トレンド反転ではなく健全な調整と捉えている。
一方で、SNS上では「プライバシーは基本的人権である」という議論が再燃。CryptoQuantのオンチェーンアナリストであるキ・ヤング・ジュCEOは、Zcashの上昇が世界的なマネーロンダリング防止(AML)規制の強化に関連している可能性を指摘している。
Sponsored Sponsored「Zcash投資家は、AML規制強化の流れの中で、ビットコインやステーブルコインからプライバシーコインへ“グレー資金”が移動するのを見越しているようだ」と同氏はXで述べた。
言い換えれば、監視の強まるメインストリーム資産から、プライバシーコインに資金がシフトしている可能性がある。
プライバシーへの普遍的な需要はZcashの“保険”か
こうした潮流は、著名投資家ナヴァル氏のバイラル投稿とも重なる。彼はZcashをビットコインのボラティリティに対するヘッジと位置づけた。
Sponsored Sponsored「ビットコインは法定通貨に対する保険であり、Zcashはビットコインに対する保険だ」とナヴァル氏は投稿している。
この主張は、ビットコインの透明な台帳ですら完全な金融プライバシーを保証しないというプライバシー擁護派の主張を後押しした。
Zcashの再評価は、過去にも見られた「規制強化期=プライバシーコイン高騰」という周期的パターンを反映している。しかし今回は、単なる投機ではなく、構造的なプライバシー需要の再認識に基づくものとの見方が広がっている。
一方で、トレーダーのpath.eth氏は慎重な楽観姿勢を示し、Zcashがさらなる上昇と大幅下落の分岐点にあると分析している。
Sponsored「Zcashが再びフェイクブレイクを起こさず、利益確定の波で沈まなければ、私の古いZECチャートがようやく現実になるだろう」と語った。
ただし、Zcashの高ボラティリティは両刃の剣だ。世界的なAML/KYC規制が拡大する中で、取引所はプライバシー資産の上場維持に対する圧力を強めている。
それでも、Zcashの哲学的中核──「個人が自らの取引を秘匿する権利」──は、自由と自律を重視するユーザー層に深く響き続けている。
直近24時間でZECは約10%下落し、ボラティリティの高さを再確認させた。それでも多くのアナリストは、プライバシー需要の高まりが次の上昇局面を支えると見ている。
執筆時点で、ZECは146.60ドルで取引されており、前日比9.74%の下落となっている。