東証グロース上場のAX企業・アライドアーキテクツは26日、DAT企業の優先株配当を利回り原資とするステーブルコイン「APYX(エイピックス)」のシードラウンドに出資したと発表した。米暗号資産取引所大手Krakenなどと並び、日本企業として唯一の参加となる。同プロジェクトはナスダック上場のDeFi Development Corpが主導し、ビットコインなどデジタル資産を保有するDAT企業の優先株から得られる配当を、保有者への利回りとして分配する新たな仕組みを採用している。
利回りを生む新型ステーブルコインの仕組み
APYXは従来のステーブルコインが抱える構造的課題への対応を目指している。世界のステーブルコイン市場は2026年2月時点で約3000億ドル超の規模に達したが、市場の約85%を占める主要ステーブルコインは利回りを生まない設計だ。保有者が利回りを得るには別途リスクを取る必要があり、何もしなければインフレで価値が目減りする。
APYXは基本トークン「apxUSD」と利回り付きトークン「apyUSD」の2層構造を採用する。ユーザーがドルを預けるとapxUSDを受け取り、APYXは受け取った資金でStrategyの「STRC」やStribeの「SATA」などDAT企業の優先株を購入する。これらの優先株から配当が発生し、ユーザーはapxUSDをロックすることでapyUSDを受け取る。ロックする人が少ないほど配当の取り分が増え、年率利回りが高くなる設計だ。
透明性確保とグローバル企業の参画
APYXは日次での資産価値レポート、リアルタイムでの担保状況可視化、月次での第三者監査報告書公開により、従来のステーブルコインより高い透明性を実現するとしている。ユーザーは担保内容や利回り生成方法を常時確認できる。
同プロジェクトには世界最大のビットコインDAT企業であるStrategy、米国大手暗号資産取引所Kraken、ニューヨーク証券取引所上場企業BitGo、DeFi分野で実績のあるGauntletなどグローバル企業が出資企業またはパートナー企業として参画している。2026年2月にイーサリアム上でローンチ予定で、その後ソラナへの対応も計画されている。
リスク要因と規制対応への課題
アライドアーキテクツのCCO大木悠氏は、「インフレや円安が進行する環境下でイールドを得る新たな選択肢となる可能性があるとして出資を決めた」と説明。「DAT優先株を担保とするステーブルコインは従来にないイノベーティブな試みと評価する一方、各国の法規制や市場ルールに則った形での発展が前提だ」と強調した。
APYXは暗号資産市場に連動するため価格変動が大きく、元本を大きく毀損する可能性がある。また、優先株は債務より劣後する証券であり、市場低迷時には減損リスクがある。さらに各国の規制動向により事業展開に影響を受ける可能性もある。アライドアーキテクツは適切なリスク管理体制のもと、法令遵守を前提として参画するとしている。