バイナンスの最高戦略責任者であるパトリック・ヒルマン氏は、米国議員からの最近の書簡に対する回答で、バイナンスとバイナンスUS(Binance.US)に関する重要な財務情報の公開を差し控えた。
ヒルマン氏の回答は14ページにわたったが、その中でバイナンスは初期の頃はコンプライアンスが弱かったものの、強固な顧客情報(Know-Your-Customer:本人確認)とマネーロンダリング防止ポリシーを遵守するために、人材に多額の投資をしてきたと述べている。
バイナンス経営陣は資金問題を避けていると伝わる
バイナンスは、規制当局や法執行機関対応を含む750人のコンプライアンス担当者を抱えている。そのコンプライアンス担当として元ジェミニ(Gemini)のCOOを起用したとヒルマン氏は述べている。
また同氏は、バイナンスと米国の系列会社バイナンスUSは別法人であり、両社はこれまでメディアで報じられているような密接な関係にはないことを強調した。
(これに対し)、3月初め、マサチューセッツ州のエリザベス・ウォーレン氏を含む3人の米国上院議員が、バイナンスが違法取引の舞台になっていると非難した。
メリーランド州のロジャー・ヴァン・ホランド(Roger Van Holland)議員とカンザス州のロジャー・マーシャル(Roger Marshall)議員は共同書簡で、バイナンスとバイナンスUS、そしてチャンポン・ジャオCEOに対し、2017年からのすべてのバイナンス関連企業のバランスシートの提出を要求している。また、同社のマネーロンダリング対策ポリシーや、バイナンスCEOが従業員にKYC基準の引き下げを指示した証拠も求めている。なお同上院議員らは、書簡に対するバイナンスの回答期限を本年3月16日に設定していた。
なお、匿名の情報筋がブルームバーグに語ったところによると、バイナンスは別途、必要な財務情報を米国の規制当局に送付したとのことである。
ジャオCEO、FTXとの関係に距離を取り続ける
2022年11月、ライバルであった暗号資産取引所FTXが破綻してから、バイナンスは倫理的な事業体として自社を(FTXと)区別するよう試みてきた。
(その一環として)同社は、苦境にある暗号資産企業を支援するための復興基金を創設した。さらにバイナンスは、ユーザーの身元を明らかにすることなく、ユーザーの残高を確認する新しいプルーフ・オブ・リザーブ(POR)レポートの構築に取り組んでいるとも報告されている。
また、単一のブロックチェーン上で顧客の預金を使用できるようにする、いわゆるB-トークンも鋳造しており、実際に預けられたトークンが担保として裏付けされるということである。
しかし最近になって、バイナンスは、担保が企業資金と同じウォレットに保管されていたため、顧客預金が過剰に担保されていたことを認めた。このため、バイナンスは、必要な担保に裏付けされている場合にのみ、B-Tokenを鋳造するようにした。
3月17日、ジャオCEOは、暗号資産企業は収益を得るために顧客の資金を貸し出すべきではなく、サービスに対して透明性のある手数料を請求すべきであると述べた。
一方同氏は、先日、バイナンスが顧客資金を貸し出したとするフォーブスの記事で、崩壊したFTXと(自社との)比較を拒否している。
FTX-バランスシートに70億ドルの欠損が判明
他方FTXは、昨年同社が破産申請する前に、顧客と企業の資金を混在させて、幹部のサム・バンクマン-フリード、ライアン・サラメ、ゲイリー・ワン各氏の贅沢な暮らしを支えていたとの報道がなされている。
FTXの破綻にかかる審理は現在進行中だが、直近の破産審理文書で、バンクマン-フリード氏が22億ドルという巨額の報酬を受け取っていたことが明らかとなった。また、元エンジニアリング・ディレクターのニシャド・シン氏は約5億8700万ドル、ワン氏は約2億4600万ドルをそれぞれ受け取っていた。
同文書によると、FTXコングロマリットは、破綻前に68億ドルのバランスシート上の赤字も抱えていたとのことである。
さらに、FTXの米国系列会社は、約2億5,500万ドルの資産と3億4,200万ドルの負債を有していた。またFTXは、9億ドルの現金と現金等価物(ほとんどが投資で構成)を保有していたことが記載されている。
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