暗号資産市場では、毎日数十億ドルが動く。投資家は取引高を見て、資金の流れや注目が集まる資産を把握しようとする。だが、その取引のうち実際に人間によるものはどれほどあるのか。
シンガポールのBirdeyeによるデータでは、暗号資産取引のおよそ3分の2がボットによるもの。ソラナでは自動取引が全取引高の最大8割を占める可能性がある。しかし、ごく限られたウォレットのみが取引を主導している。
同社は水曜日にPeakを発表した。対象は投資ファンドやファミリーオフィス、プロトレーダー。サブスクリプションは月799ドルからで、より大口の機関向けにはカスタムプランも用意する。
Birdeyeはすでに主要な暗号資産プラットフォームへデータを提供。インフラでは20のブロックチェーンを横断し、400超の取引所を追跡している。Peakにより、こうした情報を機関投資家が直接利用できる。
Birdeye Peakの実際の機能とは
例えば、ファンドが1,000万ドル分のビットコイン購入を検討する場合、大きな日次取引高の数字だけでは、その取引がどこで発生しているかや、大口注文が価格を動かす可能性があるかを把握できない。
Birdeye Peakは、こうした疑問に答えることを目指す。
TDA BTCと入力すれば、ビットコインのスポット取引高が各取引所ごとに表示され、その市場シェアも一覧できる。ユーザーは1つの画面で流動性の深さ、保有者の集中度、ETFフロー、規制当局への提出情報、資金調達の履歴も確認できる。
Peakターミナルでは、トークンロック解除スケジュールやウォレットの動向、リスク指標もカバー。AIを活用したリサーチやウォッチリスト、表計算形式のエクスポートも提供する。
これらの細かな情報が、機関投資家の投資判断、取引執行、リスク評価に影響を与える。
「トークンスクリーナー、つまり多くの人がBirdeyeターミナルとして知っている製品が、当社の最初の主力商品だった。今や数百万人の個人投資家に利用されている」とカ・グエンCEOはBeInCryptoに語る。「多くの人が当社の数値を頼りにする中で、精度と遅延の両立が毎日求められている。そのプレッシャーが、データのインデックス化や分析で深い専門性を培う要因となった」と述べた。
暗号資産取引の主役はボット、Birdeyeのデータが示唆
同社の調査は、普段の取引ダッシュボードでは見えない側面を明らかにしている。
Birdeyeの推計によると、約3分の1の取引が人間、残る3分の2がボットによるもの。ソラナでは、自動取引が取引高の最大8割を占めている。
それでも、ボット型の動きを示すウォレットは1~3%程度との分析が9月にまとめられている。
「オンチェーンで取引が発生したなら、その出来高自体は実体を持ち、市場を動かしたことになる」とグエン氏は述べる。「より興味深いのは、その取引高のうち手動の人間によるものがどれほどあるかで、答えは驚くべきもの。ごく少数のボットが暗号資産全体の取引高の大半を担っている」「まさに機関投資家が明確に知りたい信号であり、Peakはそこを可視化する狙い」と同氏は語る。
この動向はプロトレーダー以外にも影響を及ぼす。
日次で数百万ドルの取引高を記録するトークンは、極めて大きな投資家関心を集めているように見える。ただし、実際には自動マーケットメイクや裁定取引、またはボットによる繰り返し売買が混在する場合がある。
投資家がボリュームを市場の関心や流動性判断に使う際、この事実は重要となる。
Birdeyeは、取引行動のルールベース分析によりボットを識別している。
「技術的に人間ができない取引行動であれば、一般的にボットとして分類する」とグエン氏は説明する。
具体的には、1秒間に複数回の取引や高度なコントラクト操作、トークン上場直後の即時購入などが該当する。
ただし、今回の知見は暫定的なもの。Birdeyeは12月にソラナ年次レポートとともに、全手法の詳細公開を予定している。
注記:これらの数字は第三者検証を受けておらず、自動取引が直ちに市場操作を意味するものではない。
暗号資産データ企業、ウォール街でシェア争い
Peakは、暗号資産分析分野の大規模な再編が進む中で登場した。
- Kaikoは6月にAmberdataを買収。
- Blockworksは同月、Messariを買収。金額は1,000万ドル超とみられ、2022年の評価額3億ドルを大きく下回った。
- Alliumは4,000万ドルを調達。一方、Duneは従業員の25%を削減し、機関投資家とAI分野に軸足を移している。
生成AIの利用が金融リサーチにも入り込む中、信頼できるデータの重要性がますます高まっている。
Blockworksが自社データセットをAIツールに公開した際、共同創業者ジェイソン・ヤノウィッツ氏は「AIエージェントは数値の確認方法を持たないため、データは事前に標準化・出典管理されている必要がある」と警告した。
Birdeyeは自社でデータインフラを保有していることが優位性になると考える。他社の多くとは異なり、同社は外部資金を受け入れていない。
「すべての財務判断は実際の事業需要や会社の健全な成長につながるものから出るべきで、流行を追うものであってはならない」とグエン氏は話す。「資本を有することと、それを的確に投じる力は別物である。もし外部資金を受け入れるのであれば、その使途を完全に把握していることが条件だ」
同氏は出資受け入れの可能性を排除していない。
「需要が高まり、適切なタイミングが訪れれば、新たな投資家を歓迎したい」
投資家にとってPeak最大の試金石は、同社のデータが市場の真の需要を、機械による膨大な取引量と明確に区別できるかどうかにかかる。











