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米中関税休戦もビットコインは反発せず=価格見通し

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著者:
Paul Kim

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編集:
Shigeki Mori

03日 11月 2025年 14:43 JST
Trusted-確かな情報源
  • 米中関税問題の妥結にもかかわらず、ビットコインは週間で1.72%下落し、全体で上昇モメンタムの弱さを示した。
  • パウエル氏による12月利下げをめぐる不透明感が貿易休戦の効果をかき消し、ビットコイン価格の乱高下を招いた。
  • 今週を通じて発表される雇用統計が、FRBの12月の金利決定に影響する見通しだ。
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10月を通じて市場不安の主因だった米中の関税対立が解決した。こうした好材料にもかかわらず、ビットコインは先週上昇できず、週間で1.72%下落した。

明確な好材料に反応しない事実は、上昇モメンタムの大幅な弱化を示す。イーサリアムは週間で2.55%下落。ソラナ(SOL)も同期間に4.76%安となった。

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地政学的な成果 vs. 暗号資産の低迷

暗号資産投資家にとっての重要期間は10月29日から30日だった。この時間帯に、米連邦準備制度理事会(FRB)会合と、トランプ米大統領と習近平国家主席の緊迫の首脳会談が重なった。

中国は、レアアース輸出規制の1年延期や米国産大豆の輸入再開など、米側の重要な要求3点を受け入れた。これにより米中首脳会談は大きな道筋を示した。見返りに、米国は対中の総関税率を57%から47%へ引き下げることで合意した。首脳は来年の相互訪問でも合意。

解決の影響は伝統的な安全資産に即座に表れた。例えば、価格は、10月10日の関税対立激化後に急騰したが、週末までに1オンス当たり約3990ドルと、激化前の水準へ戻った。

リスク資産の代表であるナスダック100指数は、10月10日の安値から約2.7%上昇した。地政学的リスクの解消と好決算が下支えした。

一方で、ビットコイン価格はなお苦戦している。日曜のUTC夕方時点で約11万ドルと、10月10日から9.4%安。

オンチェーンのアナリストは、勢いの喪失10月10日の急落が引き金とみる。この局面でデリバティブ市場から約190億ドルのレバレッジが精算され、直近の上昇の主燃料が枯渇した。

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パウエル議長の警告、貿易休戦を打ち消す

もう一つの重要イベントは10月29日のFRBの金利発表だった。FOMCは政策金利を0.25ポイント引き下げ、12月1日に量的引き締め(QT)を終了すると発表した。リスク資産には本質的にポジティブな材料である。

しかし、ジェローム・パウエル議長は、12月FOMCでの利下げを実施しない可能性に言及し、新たな不確実性を持ち込んだ。翌月の決定に具体的に言及したのは初めてだった。

FOMC前、CMEのFedWatchは12月の利下げ確率を91.5%としていた。パウエル氏の発言で確率は55%へ急低下し、ビットコインは即座に2%下落した。その後、日曜時点で確率は70.4%まで回復したが、見通しはなお不透明だ。

FRB当局者、パウエル議長を支持、新たな不確実性浮上

その後、複数のFRB高官がパウエル氏の立場を支持した。アトランタ連銀のラファエル・ボスティック総裁は、議長のメッセージはFRB内の多様な見解を適切に伝えたと述べ、12月の据え置き示唆に言及した点を評価した。

総じて、米中首脳会談は10月の地政学的な不確実性を後退させた。一方で、金融緩和の先行きにはFRBが新たな曖昧さを持ち込んだ。

このため、今週はインフレや雇用などのマクロ指標の影響力が再び増す。暗号資産市場の不確実性の代理指標であるAltcoin Season Indexは日曜に41となり、8月第2週以来の低水準を付けた。

今週の焦点:マクロ経済指標が目白押し

今週は雇用関連の指標が目白押しだ。火曜にJOLTs求人労働異動調査。水曜にADP雇用統計。木曜に新規失業保険申請件数。金曜にミシガン期待インフレ指数が発表される。雇用が想定以上に強ければ、12月の据え置き確率が高まる。

リサ・D・クック理事(月曜)、ミシェル・W・ボウマン副議長(火曜)、マイケル・S・バー理事とクリストファー・J・ウォーラー理事(木曜)らの要人発言も、相場を動かす見通しだ。

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