暗号資産業界の専門家によると、現在流通しているビットコイン(BTC)の約33%に、量子コンピューターによって直ちに攻撃される可能性がある脆弱性が存在することが明らかになった。その最大の原因は、多くのユーザーが依然として習慣的に行っているアドレスの再利用だと指摘されている。
量子コンピューティングとビットコイン:アドレス再利用が脆弱性を増す理由
ビットコインの量子耐性については以前から懸念が指摘されてきたが、今回の調査結果によって具体的なリスクが改めて浮き彫りとなった。米プレシディオ・ビットコインが主催した「量子ビットコインサミット」に登壇したアンソニー・ミルトン博士は、約651万BTC(現在供給量の32.7%)が、量子コンピューターに即座に攻撃される状態にあると述べた。
同博士は特にアドレスの再利用をリスクとして強調しており、脆弱な651万BTCのうち70%にあたる約450万BTCが、この再利用によって危険にさらされているとした。
ビットコインにおけるUTXO(未使用トランザクション出力)の分析によると、再利用されているアドレスの数は全体の20%未満にとどまるが、それらのアドレスに集中的にビットコインが保有されており、全UTXOの約6%を占めているという。
UTXOとは、ユーザーがまだ使っていないビットコイントランザクションの一部を指す。これは、トランザクションが行われた後に残るビットコインの量を実質的に表しており、将来のトランザクションで使用可能な量である。
大多数は単一使用であり、それは良いことだ。しかし、人々がアドレスを再利用する際には、積極的に再利用する。つまり、アドレスの少数が再利用の大部分を占めている
アンソニー・ミルトン博士
さらに同博士は、約608万BTC(ビットコイン総供給量の約30%)を保有する上位1000のビットコインアドレスを調査した結果、その多くが繰り返し利用され、量子攻撃への脆弱性が高まっていると述べた。

バイナンスはその上位1000の中に600,000ビットコインを表すアドレスを持っており、そのうち500,000ほどが再利用されている
アンソニー・ミルトン博士
一方で、脆弱性が指摘されたアドレスの多くが現在も定期的にトランザクションを行っているため、これらの資産がいまだ活発に取引可能であることも示唆された。また、10年以上動きがない長期休眠アドレスはごく一部に限られているという。
しかし、このサミットに参加した専門家の多くは、量子コンピューターが実際にビットコインのセキュリティを脅威をもたらすレベルに到達するまでには、まだ5〜10年程度かかるとの見方を示した。なぜなら、量子コンピュータはまだマイニングやビットコインの暗号セキュリティを破るようなタスクを実行できる段階にないからである。
専門家は、フォールトトレラント量子コンピューティング(FTQC)がまだ5〜10年先であると考えている(積極的なタイムラインで)。それが到来するときは、相転移のように急速に進行するだろう
重要なのは、この問題がビットコインの暗号技術自体の根本的な欠陥ではなく、あくまで利用者側の運用方法に起因している点であるという。各取引ごとに新規アドレスを使用する、アドレスを定期的に切り替える、マルチシグウォレットを利用する、量子耐性を高めるためのプロトコルアップデートを常に確認するなど、対策は可能であるとしている。
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