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ビットコイン財務企業gumi、米AI市場調査スタートアップに出資

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執筆&編集:
Shigeki Mori

19日 12月 2025年 09:03 JST
Trusted-確かな情報源
  • ビットコイン財務企業gumiが、米国子会社を通じてY Combinator採択のAI市場調査スタートアップExpected Parrotへ投資を完了した。
  • gumiは10億円相当のビットコイン保有、Babylonステーキング、SBIとの暗号資産ファンド組成、25億円のXRP購入など積極的な暗号資産戦略を展開中である。
  • 今回のAI投資は暗号資産事業に加え、事業ポートフォリオをAI領域へ拡大する動きと見られ、中長期的な企業価値向上を目指す。
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東証プライム上場のビットコイン財務企業gumiが18日、子会社を通じて、米国のAIスタートアップExpected Parrotへの投資を完了した。同社はAIエージェントを活用した市場調査シミュレーション基盤を開発しており、Y Combinator 2025年秋バッチの採択企業である。投資額は非公開。gumiは10億円相当のビットコイン保有とBabylonステーキングを軸とした暗号資産戦略を展開しており、今回のAI投資は事業ポートフォリオ拡大の一環と見られる。

ビットコイン戦略企業の新たな投資先

gumiは18日、米国子会社のgumi America, Inc.を通じて、マサチューセッツ州ケンブリッジを拠点とするExpected Parrotへの出資完了を発表した。Expected Parrotは、従来人手で実施されてきた市場調査や顧客調査について、AIエージェントを中核とした市場調査シミュレーション・プラットフォームを提供している。

同社はAirbnbやStripeを輩出した世界屈指のスタートアップアクセラレーターY Combinatorの最新バッチ(Fall 2025)に採択されている。Y Combinatorからの採択は、スタートアップ企業にとって事業成長への重要な足がかりと見なされている。

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gumiは投資の背景として、AI技術の進展による産業構造の変革を挙げた。AI技術の社会実装が企業の生産性向上や新たな価値創造の鍵となるとの認識に基づき、AI領域における知見の獲得および将来的な事業機会の検討につなげる方針だ。

AIエージェントによる市場調査の効率化

Expected Parrotのプラットフォームでは、特定の性格や選好を持つ仮想の顧客(デジタルモニター)としてAIエージェントが自律的に振る舞う設計となっている。従来の対話型AIとは異なるアプローチを採用し、企業は数千人規模の消費者アンケートを短時間かつ低コストで実施できるとしている。

同プラットフォーム上では、企業が設計した顧客ペルソナを用いて、価格設定、製品仕様、マーケティング施策などに関するインタビューやアンケートを、任意の大規模言語モデル(LLM)を使用して実施可能だ。調査条件および結果は保存・再現可能な設計となっており、検証性を重視した構成となっている。また、同一の調査を実際の人間に対して実施し、AIによる結果との比較・検証を行うことも可能で、ハルシネーション(AIによる誤回答)等のリスクを管理しつつ、信頼性の高い合成データを活用した意思決定プロセスへの実装を想定した設計がなされている。

Expected Parrotの創業メンバーには、MITスローン経営大学院の終身教授でAIと経済学の分野で研究実績を持つジョン・ホートン氏がCTOとして参画している。同氏はAnthropicなどの主要AI企業における経済分野のアドバイザリーにも関与している。CEOのロビン・ホートン氏は、Uber社の法務データ部門における実務経験を通じて、厳格なデータ管理と規制対応への知見を有している。

暗号資産とAIの二軸戦略

gumiは2007年設立で、モバイルオンラインゲーム事業とブロックチェーン等事業を展開している。2025年4月期の売上高は89億円、資本金は146億円である。

同社はブロックチェーン事業への本格参入の一環として、2025年6月に10億円相当のビットコインを購入完了した。購入したビットコインは、ビットコインステーキングプロトコルBabylonでの運用を行っており、国内上場企業として初めて同プロトコルのバリデータに参画している。これによりビットコイン価格上昇による収益期待と、ステーキング及びバリデータ報酬による収益の双方を見込んでいる。

さらに同社は6月にSBIホールディングスと共同で暗号資産運用ファンドの組成も発表している。同ファンドはビットコインを含む複数の上場暗号資産を対象に、数十億円規模で3年間運用する計画だ。また同社は8月に25億円規模でのXRP購入も決議しており、ビットコインとXRPの両軸による資産戦略を推進している。

事業面では、暗号資産テーマのカジュアルゲーム『Road to Bitcoin』を2025年4月に配信開始したほか、独自トークンOSHIを基軸とした推し活プラットフォーム「OSHI3」の展開、複数ブロックチェーンのノード運営など、暗号資産とブロックチェーン領域での事業展開を加速させている。

今回のExpected Parrotへの投資は、暗号資産事業に加えてAI技術領域への投資ポートフォリオを拡大する動きと位置付けられる。同社は今後も中長期的な企業価値向上を目指すとしている。

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