バイナンスのBNBは連日の史上最高値更新を続け、価格発見(Price Discovery)フェーズに突入した。しかし、市場の熱狂の裏で、アナリストやトレーダーの一部は「BNBスーパーサイクル」と呼ばれるブームに過熱警報を鳴らしている。
BNBの価格上昇はミーム文化と投機熱によって加速しており、短期的なラリーを支える一方で、バブル的特徴を帯び始めているという見方も広がっている。
SponsoredBNB急騰が生む分断:トレーダーが「スーパーサイクル」熱狂に警鐘
BNBは本稿執筆時点で1,287ドル付近で取引され、過去24時間で約3%上昇。史上最高値を再び塗り替えた。
バイナンススマートチェーン(BSC)上の活動も急増しており、24時間のDEX取引量は60億ドルを突破。ネットワーク全体が過熱している。
話題のきっかけとなったのは、バイナンス創業者のチャンポン・ジャオ(CZ)が「BSCとは何の略だ?」とX(旧Twitter)に投稿したこと。コミュニティがこれを「BNBスーパーサイクル(BNB Super Cycle)」と解釈し、ムーブメントが爆発的に広まった。
その結果、ミームトークン「BSC」はPancakeSwapでローンチ後わずか数時間で時価総額が100万ドル未満から3,200万ドルを突破。短期的な爆発的成長を遂げた。
アナリストのスティッチ氏は、「CZの投稿、バイナンスの支持、インフルエンサーの波及、そして『復活ストーリー』への期待がタイミングよく重なった結果だ」と分析している。
「BNBコミュニティが再び目を覚ました瞬間だ。CZが戻り、BNBスーパーサイクルが始まった」と同氏は述べた。
しかし、一部トレーダーはこの熱狂を危険視している。アナリストのマーティ・パーティ氏は、2022年のFTX崩壊との共通点を指摘し、警鐘を鳴らした。
Sponsored Sponsored「BNBは規制外の独自資産であり、ステーブルコインにも裏付けがない。時価総額でブラックロックを上回るのは異常で、FTTの再来を見ているようだ」と警告した。
また、匿名アナリスト「セグ」氏も、「BSCがソラナに勝る構造的優位があるのか? それとも単なる雰囲気と資金回転によるブームなのか?」と疑問を投げかけている。
実体より投機 ― 「BNBスーパーサイクル」は本物か、それとも短命な循環か
著名トレーダー「アンセム」氏は、BSCの上昇が技術革新ではなく資金ローテーションによるものだと指摘。
Sponsored「BSCの技術的優位性はゼロ。ソラナやイーサリアムの資金が一時的に流れ込んでいるだけだ。CZの復帰ムードと、BNBの高値更新が生む“富の錯覚”がこのバブルを支えている」とコメント。
一方で、トレーダーのトーマス・グエン氏は、BSC系ミームコインの時価総額が10億ドルを超えれば、BNBスーパーサイクルが「放物線的上昇」を描く可能性があると見ている。
ただし、オンチェーンデータではステーブルコイン流入の鈍化、保有期間の短期化、取引の集中度上昇が観測されており、投機色の強いラリーである可能性が高い。
こうした熱狂は、過去の「ドージコイン・ラリー」やFTX前夜のFTT高騰と同様のパターンを想起させる。今後、利益確定売りや流動性の枯渇が一気に訪れれば、急激な修正も避けられないだろう。
投資家が取るべき最良の戦略は冷静さを保つことだ。BNBの「スーパーサイクル」が真の成長物語なのか、それとも次の循環的バブルなのかは、近く明らかになる。