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イングランド銀行、反発を受けステーブルコイン上限計画を緩和

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著者:
Shigeki Mori

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編集:
Shota Oba

08日 10月 2025年 21:12 JST
Trusted-確かな情報源
  • イングランド銀行は、取引所や主要な暗号通貨企業に対する例外を設けつつ、ステーブルコインの上限を計画している。
  • 例外条項は、デジタル決済におけるリスク管理と革新のバランスを図るものである。
  • 業界は、制限が英国のグローバルな暗号金融競争力を弱める可能性があると警告している。
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イングランド銀行(BoE)は、ステーブルコイン保有額に上限を設ける新たな規制案を策定中だが、業界からの反発を受けて一部の暗号資産企業を対象に「例外規定」を導入する見通しだ。

金融当局は、デジタルマネーの利用拡大が金融システムに与えるリスクを抑えると同時に、決済や資本市場の近代化を促進するバランスを模索している。

イングランド銀行、ステーブルコイン保有に上限設定へ

BoEの草案では、個人と法人に対してステーブルコイン保有制限を設ける方針が示されている。個人の上限は1万~2万ポンド(約1.3万~2.7万ドル)、企業は最大1,000万ポンド(約1,350万ドル)とされる見込みだ。

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この措置は、急成長するステーブルコイン市場のシステミックリスク(金融システム全体への波及リスク)を抑える狙いがある。しかし、暗号資産業界からは「過度な制限がイノベーションを阻害する」との批判が相次いだ。

そのため、BoEは修正版で「特定企業への例外措置」を設ける方針を検討している。これにより、暗号資産取引所、フィンテック企業、カストディアンなど一部の機関はより大きな流動性準備金を保持できるようになるという。

ブルームバーグが報じた関係筋によれば、BoEは「市場活動を抑制する意図はなく、あくまでシステムリスクの管理が目的」だという。改訂案では、一般消費者によるステーブルコイン利用と、機関投資家の決済利用を区別する方針も盛り込まれている。

BoEは2026年から段階的に施行する予定で、最終案は年内にパブリックコメントを経て公表される見通しだ。

例外措置とデジタル証券サンドボックスとの統合

BoEが準備する改訂案では、「例外規定」が明確に設けられる。これにより、金融インフラやブロックチェーン技術の開発に不可欠と見なされる企業は、上限を超えてステーブルコインを保有できるようになる。

具体的には、英国の「デジタル証券サンドボックス(DSS)」で活動する取引所、マーケットメーカー、ブロックチェーン企業が対象となる見通し。DSSはBoEと金融行動監視機構(FCA)が共同で運営しており、企業が規制環境下でトークン化証券やデジタル決済をテストできる枠組みを提供している。

この取り組みは、BoEが分散型台帳技術(DLT)を活用して資本市場を近代化し、将来的にトークン化証券や中央銀行デジタル通貨(CBDC)を統合するための「中間段階」と位置づけられている。

「英国の方針は、ステーブルコインが現実資産のトークン化に不可欠であるという事実を認めている。これはリスク管理とイノベーションの間の健全なバランスだ」と、Aave創設者スタニ・クレチョフ氏はXで評価した。

同氏の指摘通り、BoEの改訂案は「過度な抑制ではなく、現実的なリスクコントロール」を志向している。これにより、英国は依然としてロンドンを中心とするデジタル金融ハブとしての地位を維持する構えだ。

最終的に、BoEのステーブルコイン規制は「金融安定性を損なわずにWeb3を受け入れる」欧州型ハイブリッドモデルとして機能する可能性がある。ロンドンは今後も、伝統金融とデジタル資産の橋渡し役を担う中心地であり続けるだろう。

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