7月30日、宗教や人間関係に対する信頼を悪用した大規模な暗号資産関連の詐欺事件が相次いで報告され、注目を集めている。今回明らかになった事例は、これまで報じられてきた暴力的犯罪とは異なり、被害者の精神的、個人的な信頼関係が悪用されている点が特徴である。
牧師夫妻、”神に啓示された”暗号資産計画で信者を欺いた疑い
デンバー州では、牧師のエリジオ(エリ)・レガラド氏とその妻ケイトリン氏が、信者から340万ドルを騙し取ったとして、窃盗、証券詐欺、組織犯罪など合計40件の罪で刑事告発されている。
検察側の主張によれば、夫妻は信者に対して、神の啓示により暗号資産「INDXCoin」への投資が富をもたらすと主張していた。しかし調査の結果、投資された資金の大半は夫妻の私的な経費に流用されており、住宅改修や休暇費用、航空券や高級品購入などに充てられていたという。地方検事局によれば、資金の「ごく一部」しか暗号資産プロジェクトに使われなかった。
投資家への声明で、レガラド夫妻は「主の指示」に従って行動していると述べた。
訴状は、レガラド氏がデンバーのキリスト教コミュニティを標的にし、神が直接彼に、INDXCoinに投資すれば投資家が裕福になると告げたと主張している」と、夫妻に対して民事訴訟を起こしたト
トゥン・チャン局長|コロラド証券局
さらに検察側は、INDXCoinは実質的に無価値であり、約300人の投資家全員が資金を失ったと主張している。一方、夫妻はINDXCoinが信仰に基づくオンラインコミュニティへのアクセスを提供するユーティリティコインであり、規制当局への登録は不要であると反論している。また、宗教的信念に基づいて行動したものであり、詐欺行為を意図していなかったとも主張している。
レガラド夫妻は今月初めに逮捕され、10万ドルの不動産を担保として保釈されている。現在は厳重な監視下に置かれ、5月に行われたベンチトライアルの判決を待っている。
1700万ドル相当のXRP窃盗、カントリー界の伝説ジョージ・ジョーンズ氏の未亡人を標的に
もう一方の事件は、テネシー州で発生した。カントリーミュージック界の伝説である故ジョージ・ジョーンズ氏の未亡人、ナンシー・ジョーンズ氏のロマンティックパートナーだったカーク・ウェスト容疑者(58歳)が逮捕された。
ウェスト容疑者はジョーンズ氏宅からLedger暗号資産ウォレットを盗み、約1700万ドル相当のXRPトークンを不正に移動させた疑いが持たれている。警察の報告によれば、ジョーンズ氏は容疑者に対して不審な行動を感じ、孫娘に自宅内の金庫の確認を依頼したところ、約40万ドルの現金とXRPを保管するLedgerウォレットが消えていることに気付いた。
捜査当局によると、ウェスト容疑者はこのウォレットにアクセス可能な唯一の人物であり、容疑者が不正に資金を移動させた可能性が高いとしている。その後、一部の資金は回収されたが、約48万3000ドル相当のXRPは戻らなかった。
ウェスト容疑者はジョーンズ氏宅から退去させられた後、「500万ドルしか返さない」と告げていた。7月24日、ジョーンズ氏が警察に被害届を提出した翌日に容疑者はナッシュビル国際空港で逮捕された。現在は25万ドル以上の窃盗罪で起訴され、100万ドルの保釈金が設定されている。次回公判は10月23日の予定。
これらの事件は、暗号資産が人間の信頼関係や精神的な結びつきを悪用する詐欺の手口として、犯罪者に利用され続けている現状を改めて浮き彫りにしている。
最近、BeInCryptoは、女性がベルギーの理髪師をロンドンのギャングの手に引き渡した事件を報じた。類似の事件では、切断を伴う計画的な誘拐が関与していた。当局が返済と責任追及を進めるなか、被害者はその代償を世に訴えている。
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