暗号資産市場の観測筋は、2026年に向けて力強いサイクル入りを指摘しており、業界全体で楽観論が広がっている。
もっとも、あるアナリストは次局面が2021年の小売主導の熱狂とは様相を異にするとみる。今回のサイクルはより規律的で、主にマクロ経済の力学に形作られるという。
2026年が暗号資産にとって重要な理由
SponsoredX（旧Twitter）で共有された最新分析で、市場コメンテーターのarndxtは、次サイクルの軌道を左右する3要因として、流動性の流入タイミングと規模、米連邦準備制度（FRB）の金利動向、機関投資家の採用を挙げた。
最大の構造的示唆は、暗号資産がマクロ経済から切り離されないという点だ。 —— arndxtの投稿
同氏は、FRBが利下げや国債発行増を通じて流動性を供給し、機関の参加が続くなら、2026年は1999〜2000年以来の「最重要リスクサイクル」になり得ると指摘する。
ただし恩恵は受けつつも、ラリーはより慎重に、利益は規律的に展開されるとの見方だ。
同氏は1999年との対比にも言及。当時、FRBは175bpの利上げを実施したが、株式は2000年に最高値を更新した。
現在は逆のシナリオが意識されており、2026年末までに約150bpの利下げ観測が優勢だ。これは金融環境の引き締めではなく流動性注入となり、暗号資産を含むリスク資産への新たな需要を喚起し得る。
Sponsored Sponsored2026年のセットアップは、リスク選好の観点で1999/2000年を想起させつつ、金利は逆方向に動く可能性がある。そうなれば、2026年は「1999/2000年の強化版」になり得る。 —— arndxt
今回のサイクルが2021年と異なる理由
アナリストは、次のアルトコインシーズンが到来しても様相は2021年と大きく異なるとみる。当時はパンデミック下の大規模な財政・金融支援によりマネーサプライが急増、前例のない流動性の波が生じた。
その再現は見込み薄であり、現状を定義づける要因として以下を挙げる：
- 高金利とインフレが資本規律を強化。
- 成長は採用拡大と的確な資本配分に依存し、資金の「洪水」ではない。
- 暗号資産の時価総額は2021年比で大きく、50〜100倍の超高リターンは期待しにくい。
- 機関フローは緩やかかつ統合的で、資産ローテーションの速度を鈍らせる可能性。
次のサイクルは、投機的な流動性ショックではなく、暗号資産のグローバル資本市場への構造的統合で定義される。機関フロー、規律あるリスクテイク、政策主導の流動性シフトが収れんし、2026年は暗号資産がブーム＆バストから「制度的な関連性」へ移行する年になり得る。 —— arndxt
一方で、ビットコイン（BTC）は流動性環境に対して遅行しているとの指摘もある。新規資本の多くが国債やマネーマーケットファンドに滞留し、暗号資産はリスク曲線の末端に位置するため、資金が下流へ移る局面で初めて恩恵を受けやすい。
Sponsored想定される資金回転の引き金としては、銀行貸出の回復、利下げ後のマネーマーケット資金の流出、長期債増発に伴う利回り低下、そして資金調達圧力を緩和するドル安などが挙げられる。
これらの束縛が解ければ、暗号資産は歴史的に株式や金に続く「サイクル後半のラリー」を演じてきた。 —— arndxt
強気シナリオにもリスクは残る。長期金利の上振れ、ドル高の再燃、貸出の弱含み、あるいは安全資産での流動性滞留は、暗号資産の上昇余地を制約し得る。
2026年暗号資産予測：アナリストの見立て
他のアナリストも総じて楽観的だが、温度感はさまざまだ。トレーダーのBorovikは「スーパーサイクル」入りを宣言。2026年が暗号資産史上最大の強気相場となり、2021年急騰の10倍規模になり得ると主張する。
別の向きは、サミュエル・ベナー（1875年）の金融サイクルを引き、2026年が「B年（高価格・好況）」でピーク売却に適した年とする。
Sponsored Sponsored上昇トレンドの只中にあり、サイクル予測とも完全に整合する。いま我々は2026年に向け、熱狂とピーク評価に近づいている。 —— CryptoUncle0x
とはいえ見方は一枚岩ではない。2026年を弱気相場の年とみる声もある。
2026年はベアの年。今回は違うという見方もあるが誤りだ。第4四半期には大きなラリーがあり、暗号資産の時価総額はおそらくピークに達する。 —— Chris Taylor
2026年を巡る見解の相違は、暗号資産の将来を取り巻く不確実性の大きさを物語る。歴史的スーパーサイクルの幕開けと捉える向きがある一方で、ピークアウト後の反落を警戒する声も根強い。
ただ、多くのアナリストが共通しているのは、今回のサイクルが2021年と本質的に異なるという点だ。機関採用、マクロの力学、流動性の遷移が市場を動かし、2026年は「制度的統合への転換点」となるのか、あるいは再び厳しいリセットに向かうのか——その分岐点となる可能性が高い。
