イーロン・マスク氏は、自身には半導体を作る知識がまったくないと認めたうえで、自社が誰よりも優れたチップを生産できると予測した。マスク氏は土曜日にオースティンで開催されたX Takeoverイベントのライブ配信で発言。独自開発の工場設備が強みと語った。
この発言は、参入が最も難しい業界の一つを標的とするもの。台湾積体電路製造(TSMC)など各社は製造工程を数十年にわたり洗練させ、毎年数兆円単位を投じる。
なぜマスク氏はカスタム設備が勝利をもたらすと考えるのか
「私はチップをどう作るのか知らない。正直に言って、まったく分からない。しかし、その答えは見つけるつもりだ……自動車やロケットの作り方もはじめは分からなかった」
マスク氏は、インテル、サムスン、TSMCの工場見学で強い印象を受けたと述べた。一方、使われている装置は大半が同じメーカー製で、独自色が乏しいと指摘した。
テスラはその逆を行く。ドイツのテスラ・オートメーションなど独自部門を通じて、自社で生産装置の多くを設計する。
その経験が、チップの製造プロセスを自社で向上させる手段になるとマスク氏はブルームバーグに語った。
「慢心したり、当然だと思ったりはしたくないが、おそらく自分たちが誰よりも優れたチップ製造法を見つけ出すと思う。正直なところ、それに何年かかるか分からない。相当な年月がかかるかもしれない」
イーロン・マスク氏が1年で10種類のチップ設計を示すと何が変わるのか
本当の狙いはスピードにある。マスク氏によると、通常なら主要なチップ設計を初回草案から量産に移すまで約2年かかる。
業界ではこれでも「速い」と評価される。それでもマスク氏は、エンジニアが1年でおよそ10案を試作することを求める。
失敗例は生じてもやむを得ないと認めた。だが、設計の回数を増やせば、アイデアの検証が早まり進歩も加速すると期待する。
マスク氏は翌日、この発言を採用活動に転じた。
Terafab計画、1兆5000億円規模の賭けに
すでに資金は投じられている。テスラとスペースXはインテルと合弁で、テキサス州グライムズ郡にTerafabチップ工場を建設中。
初期投資額は150億ドルを上回る。約3000人の雇用創出が見込まれ、州のインセンティブ制度「テキサス・エンタープライズ基金」から3000万ドルの助成金を受ける予定。
マスク氏は自社運営にもこだわる。Xでは、TSMCがこの工場を所有・運営するとの見方を否定した。
Terafabでは自動車やロケットの工場ノウハウが半導体に活かせるかどうかを試す。現在、先端チップ製造はTSMCをはじめとする少数のファウンドリーが担う。マスク氏自身の見立てでも、検証には数年を要する見通し。









