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イーサリアム需給悪化、大口投資家に売り圧力

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著者:
Nhat Hoang

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編集:
Shigeki Mori

18日 12月 2025年 20:03 JST
Trusted-確かな情報源
  • イーサリアムは、大口投資家の利益が損益分岐点付近で消失し、4カ月連続の下落リスクが高まっている。
  • コインベース・プレミアムのマイナスは、米国で売り圧力とイーサの一段安を示唆する。
  • 小売の取引低迷が反発を抑制し、クジラは保有売却の判断を迫られている。
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イーサリアム(ETH)は12月を下落基調で終える公算が大きく、4カ月連続で月間マイナスとなる可能性が高まっている。米暗号資産取引所コインベースにおける需給動向を示す「コインベース・プレミアム指数」がマイナス圏に沈んだことが、市場心理の悪化を映す。

年内にかけて積み増しを進めてきた大口投資家にとっては、含み益が急速に縮小し、保有継続か売却かの判断を迫られる局面となっている。価格が一段と下落すれば、損失を確定させる動きや、損益分岐点付近での売却が増える可能性もあり、市場の変動性が高まる要因となりそうだ。

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イーサリアムのクジラ、12月は損益分岐点に接近

オンチェーンデータによると、1000ETHから10万ETH超を保有する大口アドレスの未実現利益率は、直近4カ月連続で低下している。これは、年後半にかけた価格調整の影響を強く受けた結果とみられる。

同指標は足元でゼロ水準に近づいており、大口投資家の平均取得価格は市場価格とほぼ並ぶ水準まで接近した。含み益はほぼ消失しており、わずかな価格変動が売却判断に直結しやすい状態だ。市場では、こうした投資家の動向が短期的な価格形成に影響を与えるとの見方が出ている。

ETH Whale Unrealized Profit Ratio. Source: CryptoQuant.
ETHホエール未実現利益率 出典: CryptoQuant

ポジティブな視点からは、この層の買い行動が市場に大きな影響を与える。現水準が買いの好機であるとの自信を示す要因となっている。彼らが現在の価格帯で継続的に買い増ししていることは、ETHの累積における底値圏のシグナルともいえる。

「このサイクルでは利益確定をせず、さらに保有量を増やしている。これは現在の価格帯がETHを最安水準で買い入れる好機を示している」とCryptoQuantのアナリストCW8900がコメント

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一方、弱気の観点からは重要な疑問が浮上する。このまま市場が4カ月連続の下落基調を継続した場合、ホエール投資家は実際の損失を被ることになる。このシナリオが現実味を持つ根拠となる要素は2つある。

ETHクジラに12月行動を促す2要因

1つ目は、イーサリアム・コインベースプレミアムインデックスが12月第3週にマイナスに転じたこと。

Ethereum Coinbase Premium Index. Source: CryptoQuant
イーサリアム・コインベースプレミアムインデックス 出典:CryptoQuant
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この指標は、コインベース・プロ(米ドル建て)とバイナンス(USDTペア)におけるETHの価格差率を示す。数値がマイナスであれば、コインベース側の方が価格が低く、米国投資家の売り圧力があることを意味する。

30日EMAでノイズを除去してみても、インデックスは1カ月以上マイナス圏で推移。コインベース発の売り圧が強まれば、ETH価格は今後さらに下落する可能性がある。

2つ目の要因は個人投資家の関心低下だ。12月のETHオンチェーンアクティビティは年内最低水準を記録。

ETH Active Sending Addresses. Source: CryptoQuant
ETHアクティブ送信アドレス数 出典:CryptoQuant
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ETHアクティブ送信アドレスのグラフには明確な下落傾向が現れ、ネットワーク利用も大きく冷え込んだ。個人投資家の買い圧が乏しければ、ETHは機関投資家の需要と連動してブレイクアウトを目指すのが困難となる。

「個人投資家の参加が不十分な場合、短期的な上昇には上限が生じやすい。反発初期の勢いは主に個人投資家の流入が担っている」とCryptoOnchainがコメント

さらにETH累積アドレスにおける実現価格はおよそ3000ドルに主要なサポートラインがある。現在ETHは2800ドル前後で推移しており、下抜け目前の情勢となっている。

これらの材料から、ホエールは何らかの行動を求められる立場にある。資金回収や損失限定のための売却は、下落圧力を強める。場合によっては機関投資家レベルのパニック売りを誘発する危険もある。

こうしたリスクがある中でも、直近のBitwiseレポートは2026年に強気な見通しを維持。ETHは予想よりも早く過去最高値を更新する可能性があるとしている。

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