イーサリアム(ETH)のチャートに興味深い動きが現れている。数週間の安定した上昇の後、価格は4700ドル付近で一息ついているが、これは弱気の兆候ではない。むしろ、次の上昇波に向けた自然な調整の可能性を示唆している。
短期的には約6%の下落(4410ドル付近まで)が想定されるが、これは過去にも大幅上昇の前に見られた「健全な押し目」と同様のパターンである。一方、オンチェーンデータは短期的な警戒感を示しつつも、長期的な信頼が維持されていることを裏付けている。
Sponsored取引所フローの鈍化とクジラの慎重な蓄積
イーサリアムの「取引所ネットポジション変化」指標は、中央集権取引所への資金流入出を示すもので、買い活動の減速を示唆している。大幅なマイナス値はコインの引き出しが増加している=保有姿勢の強まりを意味し、マイナスが縮小する場合は、利益確定による預け入れ増加を示す。
10月6日時点でネットポジション変化は-150万ETHと、9月22日の-230万ETHから約35%縮小した。これは一部の投資家が上昇局面で利益を確定していることを示す。
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一方、クジラウォレット(1万ETH以上を保有するアドレス)の動きは強気を維持している。過去2日で保有量は9916万ETHから9926万ETHへと増加し、評価額にして約4億7000万ドル分の買い増しが確認された(出典:Santiment)。
小売投資家による軽い売りとクジラの慎重な買い増しの組み合わせは、短期的な調整を経た後のリバウンド前兆としてよく見られる構造である。
ETHチャートが示唆する「一時的な押し目」
テクニカル面では、ETHは逆ヘッドアンドショルダー(IHS)パターン内で推移しており、これは一般的に強気の反転構造として知られる。現在のネックラインは約4740ドル付近に形成されている。
このパターンを完成させるには、一度4410ドル付近まで下落して「右肩」を形成する必要がある。この6%の調整は短期的には痛みを伴うが、長期トレンドの健全性を保つための典型的な動きだ。さらに、RSI(相対力指数)は隠れた弱気ダイバージェンスを示しており、軽い調整の可能性を支持している。
仮に調整が発生すれば、4410ドルでの反発がETHを4740ドル突破へと導く可能性がある。日足終値でこの水準を上抜ければ、次のターゲットは4950ドル(過去最高値圏)となり、新たな強気トレンドの加速が期待される。
逆に、調整を挟まず4740ドルを上抜けた場合は、押し目形成シナリオは無効化され、継続的な上昇力が確認される。一方、ETHが4270ドルを割り込むと短期の強気パターンは崩れ、レンジ相場入りする可能性がある。
総じて、イーサリアムの長期的上昇トレンドは健在だ。目先の小幅な下落は調整局面というより、「次の上昇波への助走期間」として捉えるべきだろう。