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FRB利下げ、パウエル警告で暗号資産安

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著者:
Kamina Bashir

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編集:
Shigeki Mori

31日 10月 2025年 17:24 JST
Trusted-確かな情報源
  • 「12月の利下げは確実とは程遠い」とのFRBのパウエル議長の発言で、米ドル指数は2カ月ぶりの高値となった。
  • 25ベーシスポイントの利下げと12月のQT終了でも、「タカ派的利下げ」と受け止め、ビットコインとイーサリアムは下落した。
  • アナリストらは、今回の措置は急速な金融緩和への期待を冷やし、インフレと成長のリスクを抑制する狙いだと指摘する。
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FRBのジェローム・パウエル議長は31日、12月の利下げは「ほど遠い」と述べ、市場を揺さぶった。米ドル指数(DXY)は8月以来の高値まで急伸。一方で、FRBの今回の利下げにもかかわらず主要な暗号資産は下落

この反応はアナリストが「タカ派的利下げ」と表現。10月末を迎える中で、資産クラス間の乖離が景気見通しの不確実性を浮き彫りにした。

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米FRBのタカ派的利下げ現象を読み解く

10月29日、BeInCryptoは報じた。中央銀行が政策金利を25ベーシスポイント引き下げた。さらにFRBは量的引き締め(QT)を12月1日に終了すると明らかにし、暗号資産市場にとって大きな強気サインとなった。

それにもかかわらず、投資家センチメントは改善せず悪化。BeInCrypto Marketsの最新データによると、暗号資産市場は過去24時間で2%下落し、時価総額上位20銘柄はすべてマイナス圏。ビットコイン(BTC)は11万ドルを割れ、イーサリアム(ETH)も4000ドルを割り込んだ。

「オンチェーン指標は機関投資家の需要の弱まりを示す。コインベース・プレミアムギャップ(コインベースと他の暗号資産取引所の価格差を追跡)は再びマイナス転。米国勢の買いの勢いの減退を示唆。歴史的に、プレミアム低下は短期調整に先行しやすい。個人はマクロの見出しを好感したが、大口は慎重姿勢を崩さなかった」とアナリストは指摘した

同時にDXYは前日、99.7ポイントに上昇し、2025年8月以来の高水準。テクニカルアナリストは、弱気から強気への転換点となる可能性を指摘した。

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投資家は通常、低金利がリスク資産を支えると期待する。しかし今回は、ドル高が暗号資産市場に再び圧力。相反する動きが現状への不安を強める。

背景は声明の文言にある。パウエル議長の発言が足元の追加緩和期待を後退させた。公式声明によれば、同氏は12月の追加利下げは不確実と強調した。

「12月の対応を巡り、強い意見の相違があった。12月会合での政策金利の追加引き下げは既定路線ではない。むしろ、ほど遠い」と同氏は述べた

市場の織り込みはFRBのトーンに即応。CME FedWatch Toolによれば、12月の利下げ確率は90%以上から70.8%へ低下した。

Fed Rate Cut Expectations in December
12月の利下げ期待 出典: CME FedWatch Tool
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あるアナリストは、このアプローチは市場センチメントの誘導を狙った意図的な試みと指摘。この戦略はインフレ期待の管理と政策の柔軟性維持を目的とする。

「『タカ派的利下げ』は逆説ではない。戦略だ。利下げを行いながら、先行きの緩和期待を冷ますことを指す」とMilk Road Macroは説明した

政策転換で景気後退の警戒強まる

一方で、複数のアナリストが経済課題の深刻化を警告。The Kobeissi Letterによれば、米人口の約82%が景気後退を経験する地域に居住しており、2020年以来の高水準となっている。

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「この比率は2025年初から2倍となった。過去20年で、同規模の比率は2008年と2020年のみ。一方、2025年第3四半期の米実質GDP成長率に関するアトランタ連銀の最新推計は+3.9%だ」とその投稿は記した。

さらに、別のアナリストは長期失業者の比率が25.7%に上昇したと指摘。米国では約4人に1人が27週間超失業状態にあると説明した。

「この数字が25%を超えたのはいつか。2009年だ。不況入りから丸1年。あの年だ。失業率4.35%を信じない理由はこれで十分だろうか」とアマンダ・グッドール氏は述べた

このため、FRBの慎重なメッセージは、成長支援と借入コスト低下の両立を図る一方、景気後退が現実化する場合のバブルやインフレ期待の急騰も抑制しようとするものとみられる。

12月会合が近づくなか、トレーダーは慎重姿勢を維持し、新たなデータと米連邦準備理事会(FRB)の次の一手を待つ。帰趨は、今後数週間の成長、インフレ、雇用の動向にかかる。最終的には、市場がFRBの戦略を織り込む過程で、政策運営と発信の緊張が相場の変動を生み続ける見通しだ。

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