暗号資産取引所FTXの経営破綻を巡る一連の刑事事件で、中核的役割を果たしたとされるアラメダ・リサーチ元最高経営責任者(CEO)のキャロライン・エリソン被告が17日、米連邦刑務所から移送され、現在は矯正施設に収容されていないことが分かった。
米連邦刑務所局(BOP)の受刑者情報によると、同被告はニューヨーク州内の再入所管理(RRM)プログラム下に置かれており、刑務所収監から地域社会での管理へと段階的に移行している。暗号資産業界史上最大級の不正事件における司法判断のあり方を巡り、米国内では寛大すぎるとの見方も出ている。
Sponsored再入所管理(RRM)が示す刑期の最終段階
BOPのデータベースでは、エリソン被告の釈放予定日は2026年2月20日と記載されている。現時点では連邦当局の管理下にあるものの、刑務所施設内には収容されておらず、刑期の最終段階である再入所管理プログラムに移行した形だ。
RRMは、連邦刑の終盤に受刑者の社会復帰を支援・監督する制度で、対象者は刑務所ではなく、ハーフウェイハウスや自宅監禁といった形態で管理される場合がある。身体的な拘束は大幅に緩和され、就労や限定的な社会活動が認められる一方、行動範囲や移動には厳格な制限が課される
刑務所内の独房や常時監視体制とは異なり、RRM下では自由度が相対的に高い。ただし、今回の移送は刑の終了や完全な釈放を意味するものではなく、あくまで連邦刑務所局の監督下での段階的措置に過ぎない。
FTX破綻は暗号資産市場全体の信頼を揺るがした象徴的事件とされており、主要関係者に対する処遇は、今後の金融・暗号資産犯罪に対する司法の姿勢を測る試金石となりそうだ。
Sponsored Sponsoredエリソン氏のFTX崩壊での役割
エリソン被告は2022年、FTX顧客資金の不正流用に絡む複数の連邦詐欺容疑を認めた。
アラメダ・リサーチのCEOとして、FTXと密接につながる同社の取引を主導し、顧客の数十億ドルに及ぶ預かり金に依存した金融取引を実行していたことを認めた。
ただし、検察と裁判所は、エリソン被告の役割と、詐欺を可能にしたシステムを設計したFTX創業者サム・バンクマン=フリードとの明確な違いを指摘した。同被告はFTX取引所のインフラや顧客管理機構、運営体制を管理していたわけではない。
同被告は捜査当局への協力で大きな役割を果たした。エリソン氏は連邦政府の主要証人となり、バンクマン=フリード有罪確定に有効な証言を提供した。2024年、連邦判事は協力・早期の有罪答弁・従属的立場を踏まえて禁錮2年を言い渡した。
ド・クォン被告との鮮明な対比
エリソン被告の刑務所からの移送は、テラフォーム・ラボ創業者ド・クォン被告が、テラUSDステーブルコイン崩壊に関連する詐欺で連邦刑15年の服役を開始したタイミングと重なる。
検察側は、クォン被告がテラのアルゴリズム型ペッグの安定性について投資家に故意に誤解を与え、総額4兆円超の損失を引き起こしたと主張していた。
エリソン被告と異なり、クォン被告はシステムの創設者であり、表立った広報役かつ設計者でもあった。量刑の差は、裁判所がシステム開発者と運用者を切り分けて判断する手法を反映している。
寛大すぎるか法的整合性か
エリソン被告の地域社会内での拘束移行は法的には通常の手続きだが、政治的には波紋を広げている。批判派にとっては、暗号資産事件で責任追及に偏りがあるとの印象が強まった形だ。
一方、検察側は、協力・権限の低さ・責任受容といった量刑原則に基づく適切な措置との見方を示している。
現時点でエリソン被告は連邦当局の監督下にある。しかし、たとえ一時的であっても刑務所から姿を消したことで、暗号資産帝国崩壊時に真に犠牲を払うのは誰か、という疑問が再び浮上した形となった。