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香港、ステーブルコインの新制度始動=銀行・証券会社がライセンス取得を急ぐ

5分
投稿者 Tao Zhao
編集 Shigeki Mori

8月1日、香港でステーブルコインに関する新たな規制制度が正式に施行された。香港金融管理局(HKMA)は、資本要件や保管体制、KYC(本人確認)、準備金、ガバナンス構造などを定めたライセンスガイドラインを公表し、制度の運用が本格的に始まった。

銀行が先陣、発行体に制度上の優位性

BOCHK(中国銀行香港)やスタンダードチャータードといった主要な銀行が、ライセンス申請の先陣を切る見通しだ。これらの銀行は、紙幣発行機関として香港の通貨制度下で既に規制上の優位を持ち、制度適合性も高い。HKMAの規定では、各ステーブルコインが完全に法定通貨で裏付けられ、かつ厳格な銀行による保管体制を確保する必要がある。

HKMAは初期段階で少数のライセンスのみを交付する計画。申請の締切は9月30日で、これを過ぎた発行体は11月以降、業務継続が困難になる可能性もある。現在、申請準備を進めているのは国有企業、サンドボックス制度の対象企業、フィンテック大手など多岐にわたる。

申請の成否は、現実的なユースケースと事業の持続可能性に大きく依存するとみられる。ターゲットとされる用途には、資産のトークン化、国際送金、暗号資産の取引などが含まれる。これらの分野における事業計画が、ライセンス取得の成否を左右する。

証券会社も、取引・保管・コンサルティングといったサービス展開を視野に入れて動き出している。トークン化資産を活用した新たなポートフォリオ運用サービスの模索も進んでおり、既に44社が関連するタイプ1ライセンスのアップグレードを完了した。

香港の有力ブローカー各社は、ステーブルコイン関連ライセンスの確保を急いでいる。デジタル金融の基盤形成に遅れれば、将来的な競争力に影響を及ぼしかねないためだ。中国系の大手証券会社である国泰君安やイーストマネーは、既にライセンスの取得・更新を終えている。

HKMA、過熱と投機に警鐘=人民元建て構想も

規制当局は、制度導入による短期的な過熱や投機的なリスクについても警鐘を鳴らしている。投資家には、各ステーブルコインが有する資産裏付けの妥当性や、事業の実現可能性を慎重に見極めるよう求めている。制度の導入にもかかわらず、実体の乏しいトークンが市場に再び現れる可能性も指摘されている。

一部企業は、国際決済用途を視野に、CNH(オフショア人民元)を裏付けとするステーブルコインの発行を検討中だ。中国資産管理(香港)は今年、複数のトークン化ファンドを立ち上げており、中でも「華夏人民元デジタル通貨ファンド」は、初のオンチェーン型オフショア人民元建てファンドとして注目されている。業界関係者は、これを人民元建てステーブルコインの可能性を切り拓く試金石と位置づけている。

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タオ・ジャオ氏は、2017年から中国語の暗号資産コンテンツを専門とし、7年間のブロックチェーンメディアの経験を持つ。同氏の編集アプローチは、技術的な精度と市場分析を組み合わせ、グローバル基準を維持しつつローカライズされたコンテンツを作成する。ジャオ氏は、機関投資家の採用動向や規制の進展に注目し、複雑なデジタル資産の動向を中国語を話す読者に向けて戦略的な暗号資産の視点として権威あるインサイトに翻訳する。
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