東証スタンダード上場の堀田丸正(証券コード8105)は11日、商号を「Bitcoin Japan」に変更し、RIZAPグループとの資本業務提携を解消した。
1861年創業の老舗和装品卸売企業が、ビットコインを軸とした暗号資産・AI企業への転換を本格化させる。臨時株主総会で新取締役3名が選任され、経営体制を刷新。新代表取締役社長兼CEOのフィリップ・ロード氏は、2030年までに500メガワット規模のAIコンピューティング能力への投資を目指すと表明した。
米Bakktが筆頭株主、RIZAP株は段階売却へ
今回の経営刷新の背景には、米デジタル資産サービス大手Bakkt Holdings(バックト)による戦略的投資がある。Bakktは8月、同社の発行済み株式約30%を取得し、筆頭株主となった。これによりRIZAPグループの持株比率は25.69%(9月末時点)に低下し、同社は連結子会社から持分法適用関連会社へと位置づけが変わった。
SponsoredRIZAPは今後、市場への影響を考慮しながら保有株式を段階的に売却する方針だ。2017年5月に締結した資本業務提携契約は11日付で解消され、海外展開やEC事業強化などの協業施策も終了する。
AIとビットコインの融合戦略、2030年に500MW投資
ロード氏は代表挨拶で、新生Bitcoin Japanの3つの柱として「AIインフラストラクチャー」「ビットコイントレジャリー」「トランスペアレンシー(透明性)」を掲げた。AIインフラは高性能コンピューティング向けの資産投資と構築を指し、ビットコイントレジャリーはインフレ対策としての戦略的リザーブ(準備資産)と位置づける。
透明性については、日本での上場を維持しグローバルなコンプライアンスに適合した資本構成を通じて、164年の事業の歴史を継承すると説明した。
なお、同報道を受けて、同社の株価は11日、午後から急騰し、高値774円で取引を終え、前日比+100円(+14.84%)のストップ高となった。
配当方針明示、メタプラネットと競合も
同社は「安定した年間配当利回りを届ける」方針も示した。ビットコイン保有とAIインフラ投資を組み合わせたハイブリッド戦略により、暗号資産のボラティリティと配当の安定性をどう両立させるかが今後の焦点となる。ビットコイン事業サイト「bitcoin.co.jp」は近日中に公開予定で、具体的な投資計画や保有状況が明らかになる見通しだ。
一方、国内最大のビットコイン保有企業メタプラネットも9月に完全子会社「ビットコインジャパン株式会社」を設立し、「bitcoin.jp」ドメインで、7日からサービスを始めた。類似の社名とドメインを持つ2社が並存する形となり、投資家や一般消費者の間で混同が生じる可能性も指摘されている。両社の戦略競争と市場での差別化が注目される。