2025年も師走に入り、日本国内のビットコイン財務企業株が再び注目を集めている。先週末、ビットコイン(BTC)が9万2000ドル近辺まで回復したことで、保有BTCを財務資産として位置づけるメタプラネット、リミックスポイント、北紡などの株価は小幅ながら反発に転じた。11月最終週には、事業戦略転換や貸出運用開始などの新たな動きも相次ぎ、今週の価格動向は企業価値評価を左右する局面となる。
ビットコイン反発と財務銘柄の連動性
ビットコインは11月最終週、米国市場の堅調さやETF流入の持ち直しを背景に、一時9万1000ドル台を付けた。これに連動し、国内のビットコイン財務企業の株価も下げ止まりの動きを見せている。メタプラネット、リミックスポイントなどビットコイン財務主要各社は、それぞれの財務構造やビットコイン保有戦略により価格感応度が異なるものの、BTC反発局面では買い戻しが入りやすい構造にある。
Sponsoredメタプラネットは約3万BTC規模という国内最大級の保有量を背景に、ビットコインの値動きが企業価値に直結しやすい。リミックスポイントは暗号資産評価益の増加が収益に寄与しており、本業と暗号資産事業のバランスが市場の評価ポイントとなる。一方で北紡は、地方企業としては異例のビットコイン保有に加え、財務戦略の拡張を進めている。
12月相場は例年ボラティリティが高まる季節であり、株価がBTCに連動しやすい点には注意が必要である。
国内主要ビットコイン財務企業株の最新動向
メタプラネット(3350)は、11月下旬にかけて400円台を再び回復しつつあったが12月1日は午前の段階ではまた下落へ転じている。複数の資金調達や財務戦略の明確化により、保有ビットコインの価値と株価の関係を意識した投資家が増えており、今週はビットコインが9万ドル台を維持できるかどうかが短期的な焦点となる。
リミックスポイント(3825)は、暗号資産評価益に支えられ業績が改善しつつある。新株予約権などによる資金調達の見直しにより希薄化懸念が和らぎ、株価の不安定さは一定程度縮小した。ただし、年初来高値からの調整幅は大きく、投資家の視線は財務政策の継続性に向かう。
北紡(3408)は11月27日、保有するビットコインの一部を12月9日から貸出運用に回すと発表した。SBIデジタルファイナンスのサービスを利用し、保有資産から利回りを得る取り組みは、財務戦略が「保有」から「運用」へ拡張したことを意味する。同社株は130円前後で推移しているが、ビットコインが再び強含む局面では出来高が増える傾向にある。
11月最終週には、コンヴァノがこれまで掲げていた「最大2万1000BTC取得」方針を取り下げ、本業へ経営資源を再配分する方針を示した。ビットコインを財務戦略の中心に据える企業が増える一方で、BTC依存度と本業のバランスを見直す動きも顕著になりつつある。
Sponsored Sponsoredこうした評価軸をめぐり、同社取締役の東基世氏(@MotokiyoAzuma)はXで次のように述べている。
「MSCIの暗号資産分類更新は企業価値に直結しない。本業が事業価値の中心である企業は通常の事業会社として評価されるべきだ」
この発言は、ビットコイン財務企業が一枚岩ではなく、企業ごとの構造の違いが株価感応度を左右するという市場の認識を裏付けるものと言える。
Sponsored12月相場の焦点と国内財務株のシナリオ
12月の暗号資産市場は、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策観測やETFフローの変動など、複数の外部要因が重なる時期である。ビットコイン財務企業の株価を左右するポイントは主に次の3つ。
① ビットコイン価格の維持水準
9万ドル台を維持すれば財務銘柄への資金流入が続く可能性がある。一方、8万ドル台へ下落すると短期筋の売りが優勢となる。
② 企業の資本政策・IRの方向性
追加取得や資金調達の有無、保有資産の戦略転換など、企業の判断が株価を左右しやすい。北紡の貸出運用やメタプラネットの財務戦略は今週の注目材料となりそうだ。
③ 本業収益とのバランス
BTC評価益への依存度が高まると「ETF類似」と見なされ、株価の変動リスクが増す。本業の収益が企業価値の基盤である場合、変動耐性は高まる。
総じて、12月第1週はビットコインの値動きが国内ビットコイン財務企業株の方向性を決定づける局面となる。外部環境の不確実性に配慮しつつ、各社の財務戦略と本業の構造に基づいた企業評価が求められる。