日本、米国、韓国の外相は22日、ニューヨークで会談し、サイバーセキュリティや経済安全保障、人工知能分野での協力を確認した。会談では北朝鮮の核・ミサイル開発抑制に向けた連携が主要議題となった。同時に関連する暗号資産窃盗への対抗策も重点的に協議した。
3カ国は北朝鮮によるサイバー攻撃の高度化に警戒を強めている。ハッカー集団「ラザルス」は2025年だけで数十億ドルを窃取したとされる。同集団は分散型金融プラットフォームを標的とし、スマートコントラクトの脆弱性を悪用する手法を用いる。フィッシング詐欺やサプライチェーン侵害と組み合わせ、これらの攻撃は北朝鮮の核・ミサイル開発の重要な資金源となっている。外相らはサプライチェーンの強靭性向上と技術協力の拡大でも合意した。
外相ら、暗号資産窃盗とサイバー脅威への対処で連携
外相たちは、北朝鮮の高度化するサイバー攻撃に対抗する必要性を強調した。公式発表では、ラザルスハッキンググループが2025年だけで数十億ドルを盗んだと指摘している。このグループは分散型金融プラットフォームを標的にし、スマートコントラクトの脆弱性を悪用した。フィッシング詐欺やサプライチェーンの侵害と組み合わせて、これらの攻撃は北朝鮮の核およびミサイル計画に重要な資金を提供している。
Sponsored日米韓外相会談は北朝鮮がウラン濃縮活動を公表し始めた2010年から、定期的におこなわれており、電話協議を含めると、近年は毎月のように行われている。今年1月には「北朝鮮による暗号資産窃取及び官民連携に関する共同声明」を出すなど、北朝鮮の脅威は軍事だけでなくサイバー分野や物流、金融など民間事業にまで拡大している。
経済安全保障とAI協力の強化
サイバーセキュリティに加え、外相らは重要鉱物のサプライチェーン強化を通じた経済安全保障の向上で一致した。人工知能技術の推進でも協力を深める。AIの戦略的役割は革新促進とインフラ保護の両面で重要性が増している。共同研究イニシアチブの立ち上げと統一基準の策定が検討課題となった。
外相らはロシアと北朝鮮の軍事協力に対する協調対応も再確認した。朝鮮半島の完全な非核化という共通目標の実現に向けた結束を改めて示した。
各国のサイバー防衛戦略
米国財務省外国資産管理局(OFAC)は北朝鮮関連の暗号資産ミキシングサービスとウォレットアドレスを制裁対象に指定している。連邦捜査局(FBI)は盗取された資産の追跡と回収作業を積極的に進める。
韓国は国内暗号資産取引所に対するマネーロンダリング防止(AML)要件を厳格化した。疑わしい取引の自動検出システムを導入している。サイバーセキュリティ専門家の育成プログラムも拡充している。
日本では警察庁、金融庁、内閣サイバーセキュリティセンターが連携し、暗号資産取引所の監視体制を強化している。米韓当局との脅威情報共有も活発化している。新たなサイバー脅威への迅速な検知・対応に向けた合同演習と情報共有体制の整備が進んでいる。