求人件数と労働異動調査(JOLTS)が火曜日に米国労働統計局(BLS)から発表される。今回の発表では、8月の求人件数の変化に加え、解雇数や自発的離職数も明らかにされる。
市場予想では、8月の求人件数は前月の718万1,000件からわずかに減少し、710万件となる見通しだ。
JOLTSは労働需給を映す重要指標で、賃金やインフレ動向に直結するため、市場参加者や連邦準備制度理事会(FRB)の政策判断に大きな影響を与える。求人件数は2022年3月の1,200万件をピークに着実に減少し、労働市場が落ち着きを見せる一方で冷え込みも強まっている。
今年1月には770万件を超えていた求人件数は、3月に720万件へ減少。その後2か月連続で増加し、5月には770万件に戻したが、夏場に再び軟化し、7月には720万件を割り込んだ。
Sponsored次回のJOLTSレポートで注目すべき点
求人件数は8月に710万件へ減少する見通しだ。FRB当局者の間では労働市場の先行きに対する懸念が高まっている。
9月の会合で25bpの利下げを決定した際、パウエル議長は雇用増加が損益分岐点を下回っていると認めた。さらに、FRB理事のミシェル・ボウマン氏は、最近の雇用統計の下方修正が「FRBが利下げで出遅れている証拠だ」と指摘している。
また、カンザスシティ連銀のジェフリー・シュミッド総裁は、9月の利下げが労働市場リスクの緩和に適切だったと述べつつ、最新データはむしろリスクが高まっていることを示すと付け加えた。
CME FedWatchツールによれば、市場は10月にさらに25bpの利下げをほぼ完全に織り込み、12月に据え置く確率は約30%とされる。もし求人件数が700万件を大きく下回るサプライズとなれば、追加利下げ期待が急速に高まり、米ドル(USD)には即時の影響が及ぶ可能性がある。
逆に、市場予想通りか上振れる結果なら、金曜発表の9月雇用統計まではUSDの底堅さが続く展開も考えられる。
JOLTSレポート発表の時刻とEUR/USDへの影響
求人件数は火曜日14:00 GMTに発表される。FXStreet欧州セッションリードアナリスト、エレン・センゲゼル氏はEUR/USDのテクニカル見通しを以下のように指摘している。
「短期的には方向感に欠ける。日足チャートのRSIは50付近にあり、ペアは20日・50日のSMA近辺で推移している。下値では100日SMAが1.1600で主要サポートを形成し、次いで1.1530(2月〜9月上昇トレンドのフィボナッチ23.6%戻し)、1.1300(同38.2%戻し)が控える。上値では1.1800(ラウンドナンバー)、1.1920(9月17日高値)、1.2000(静的・心理的抵抗)が注目される。」