日本円ステーブルコイン「JPYC」を発行するJPYC社は3日、発行・償還プラットフォーム「JPYC EX」の累計発行額が10億円を突破したと発表した。口座開設数も1万3000件に達し、国内における円建てステーブルコインの利用が着実に広がっている。同社は資金移動業者として規制に準拠した形でサービスを提供しており、実店舗決済やWeb3プロジェクトなど多様な用途での採用が進んでいる。
法令準拠型プラットフォームが成長加速
JPYC EXは、日本円と1対1で交換可能なステーブルコイン「JPYC」の発行・償還を行うプラットフォーム。資金移動業の登録を受けた事業者として、裏付け資産を預貯金および国債で保全する仕組みを採用している。
サービス開始以降、個人ユーザーに加えてスタートアップや既存事業者からの利用が拡大した。2026年2月2日時点で口座開設数は1万3000件、累計発行額は10億円に到達している。現在はAvalanche、Ethereum、Polygonの3つのブロックチェーン上で発行されており、複数チェーンへの対応が利便性向上につながっている。
SponsoredJPYCの利用シーンは、オンライン決済や実店舗での支払いに加え、キャンペーンでのインセンティブ配布、ポイントとの組み合わせ活用など実務的な領域に広がっている。ブロックチェーンを活用した新規サービスの実証実験でも採用されており、価格変動を抑えたデジタル通貨として存在感を高めている。
エコシステム形成で3年後10兆円目指す
JPYCは「オープンな金融インフラ」として設計されており、各種事業者が自由に組み込める仕組みとなっている。この開放性により、実店舗・EC決済、企業間精算、Web3ウォレット、法人会計SaaS、クリエイター支援など幅広い領域での連携が進展している。
同社は今後3年で発行残高10兆円規模の達成を目標に掲げている。パートナー企業との連携強化を通じて、法人・個人問わず幅広いニーズに応えるプロダクト開発とエコシステム構築を推進する方針だ。発行対応チェーンのさらなる拡大やユーザー体験の改善も計画している。
自治体支援で加速する社会実装
国内でのステーブルコイン採用を後押しする動きも活発化している。東京都は1月31日、2026年度予算案で「ステーブルコイン社会実装推進事業」として総額2億円を計上した。4分の3補助で5件の事業を支援する方針で、社会課題解決を目指す事業者への実装支援が本格化する。
JPYC代表取締役の岡部典孝氏は、「予算が通過すればステーブルコインで社会実装を進める事業者にとって重要な機会になる」と指摘している。
また、大手IT企業との連携も加速している。アステリアは1月16日、JPYCと資本業務提携を締結した。企業システムとデータ連携してJPYCの送金や自動化を容易にする「JPYCゲートウェイ」のβ版提供を同月13日から開始しており、企業の財務会計システムとステーブルコインを接続することで手数料削減や即時送金を実現する。TISも2025年10月に基本合意を締結済みで、2026年春から夏にかけて大手事業者との実証実験を開始し、同年秋以降にサービスの正式提供を目指す。TISは2036年度までに関連サービスで売上高20億円を目標に掲げている。