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JPYC、サークル主導の国際為替ネットワークに日本円代表として参画

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執筆&編集:
Shigeki Mori

14日 11月 2025年 14:33 JST
Trusted-確かな情報源
  • JPYC、サークル主導の国際為替プラットフォーム「StableFX」に日本円代表として参画、8通貨の初期参加通貨に選定された。
  • JPYCの累計発行額は2億円突破、10月27日の発行開始から約2週間での到達、目標は3年で10兆円。
  • 2026年ローンチ予定のArcメインネットに向け開発連携開始、国内普及とグローバル展開の二正面戦略を推進する。
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JPYC株式会社が発行する日本円建ステーブルコインが14日、USDC発行体である米サークル社の「Circle Partner Stablecoins」プログラムに採択された。

同プログラムは2026年のローンチを目指す次世代オンチェーン為替プラットフォーム「StableFX」の構成要素であり、JPYCは8通貨の初期参加通貨のうち日本円ポジションを担う。一方、JPYCの累計発行額は2億円を突破し、国内での利用拡大が進んでいる。

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サークルが構築する次世代為替インフラの全容

サークル社が発表した「Circle Partner Stablecoins」プログラムは、リアルタイム決済清算レイヤー「Arc」、複数の流動性提供者からRFQ方式で為替取引を実現する「StableFX」、そして法定通貨建ステーブルコインを発行する地域パートナー群の3つのコンポーネントで構成される。このインフラは、サークルが発行する米ドル建ステーブルコインUSDC(流通額756億米ドル、約11.7兆円)を媒介とし、すべての参加通貨が相互運用するネットワークの構築を目指している。

初期参加通貨は8通貨で、オーストラリアドル(AUDF)、ブラジルレアル(BRLA)、日本円(JPYC)、韓国ウォン(KRW1)、メキシコペソ(MXNB)、フィリピンペソ(PHPC)、カナダドル(QCAD)、南アフリカランド(ZARU)が選定された。JPYCは日本円建ステーブルコインとしての市場ポジション、資金移動業者としての規制遵守体制、オープンウォレット互換性を評価され選定に至った。2021年にサークル・ベンチャーズから出資を受けており、既存の関係性も選定要因となった可能性がある。

同プラットフォームはサークルの厳格なKYB(Know Your Business)およびAML(マネーロンダリング対策)審査を通過した機関投資家のみがアクセス可能な設計となっており、暗号資産取引に限定されず、国際送金、貿易決済、クロスボーダー清算など実需ベースのグローバルマネーフロー基盤としての活用が想定されている。

滑り出し好調、発行額2億円突破

JPYCの国内での利用は拡大を続けている。JPYC公式アカウントは14日、累計発行額が2億円を突破したことを明らかにした。同社は2025年10月27日に資金決済法に基づく電子決済手段として国内初の円建てステーブルコインの発行を開始しており、開始から約2週間での到達となる。

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JPYC株式会社の岡部典孝代表取締役は「3年間で10兆円の発行残高」を目標として掲げている。現時点の2億円という規模は目標に対して初期段階にあるが、規制準拠型ステーブルコインとしての基盤構築期と位置づけられる。同社は発行・償還手数料を無料とし、裏付け資産である預貯金・国債からの利息収入を収益源とするビジネスモデルを採用している。

国内ステーブルコイン市場では、三菱UFJ信託銀行等が出資するProgmatが信託型での参入を準備しているほか、SBI VCトレードが2025年3月に海外発行のUSDCの国内流通を開始している。電子決済手段等取引業者として認可されているのは現時点でSBI VCトレードの1社のみであり、仲介者の増加が市場拡大の鍵となる。

グローバル展開と国内普及の二正面戦略

JPYCは国内市場での発行基盤を固めつつ、サークルとの連携によりグローバルな相互運用性の確保を進める二正面戦略を採る形となった。同社は2026年に予定されるArcメインネットローンチを見据え、開発初期段階からサークルとの設計・検証連携を進めるとしている。

世界のステーブルコイン市場は2,970億ドル規模に達しているが、その99%は米ドル建てが占める。日本は2023年6月に改正資金決済法を施行し、世界に先駆けて包括的な規制枠組みを構築したが、実際の市場形成はこれからの段階にある。JPYCのサークルプログラム参画は、規制準拠型の円建てステーブルコインが国際的な為替インフラの一部として位置づけられる可能性を示している。

一方で、JPYC株式会社は第二種資金移動業者として1回あたり100万円の送金上限という制約を抱える。ただし、この制約は発行・償還プラットフォーム「JPYC EX」での取引に適用されるものであり、セルフカストディウォレットへ移動後のウォレット間送金には上限が適用されない。企業間決済や大口取引はウォレット間送金により実現可能であり、制度上の制約は実務上限定的との見方もある。

JPYCは発行開始時点でAvalanche、Ethereum、Polygonの3ブロックチェーンに対応し、マルチチェーン戦略を採用している。開発者向けSDKを無償公開し、特定の加盟店契約を必要とせず自由にJPYCを組み込めるオープンな設計としている点も特徴である。サークルとの連携により、この技術基盤がグローバルな為替ネットワークと接続されることになる。

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