クラーケンによる200万ドル規模の暗号資産PACが米政治の焦点となりつつある。共同CEOのアルジュン・セティ氏は火曜日、同社が連邦選挙委員会に最近登録されたフリーダムファンドPACへ100万ドルを寄付し、2025年のアメリカファーストデジタルへの誓約も100万ドルへ増額すると発表した。
この動きは、暗号資産が党派政治と深く結びつきつつある現状を映し出す。
Sponsoredクラーケン、トランプ支持団体の暗号資産PACに200万ドルを寄付
セティ氏は、資産の自己管理、許可不要の分散型開発、監視型金融からの脱却といった業界の根本原則が、規制の不確実性と相次ぐ執行措置によって脅かされていると主張した。
同氏は、これらを「憲法上の課題」と位置づけ、米国における金融の自由を左右し得ると述べた。
今回の200万ドル拠出は、ジェミニ共同創業者のキャメロン・ウィンクルボス氏とタイラー・ウィンクルボス氏がデジタルフリーダムファンド立ち上げに向けて2100万ドル相当のビットコインをコミットした動きに続く。一方で、議会側の動きも加速している。7月には下院がFIT21市場構造法案を可決。この夏には上院が連邦ステーブルコインの枠組みを前進させ、長らく停滞していた論点に弾みがついた。
2026年選挙を前に暗号資産の寄付が増勢
政治資金は拡大を続ける。新設のスーパーPAC「フェローシップPAC」は今月、1億ドルの予算計画を公表。一方で、フェアシェイクなど業界系団体は2024年以降の超党派支出が総額1億ドル超に達したと報告している。加えて、コインベースと連携するスタンド・ウィズ・クリプトは昨年、会員主導のPACを立ち上げ、厳しい党派対立を回避する姿勢を示した。
州レベルでも存在感は高まる。ジョージア州では、暗号資産系PACとアメリカ・イスラエル公共問題委員会(AIPAC)が民主党のジョン・オソフ上院議員に対抗する形で、共和党のマイク・コリンズ氏を約74万6000ドルで支援。支持派は、こうした寄付が開発者と投資家のための明確なルール整備につながる戦略的投資だと主張する。他方で、懐疑派は特定政党への明確な連携が、政権交代時に業界の影響力を狭めかねないと警鐘を鳴らす。
争点は選挙資金にとどまらない。下院指導部は最近、市場構造やCBDC関連法案の進展を強調。また、シンシア・ルミス上院議員らは、戦略的備蓄の検討を目的とするBITCOIN法案を提出した。
同時にクラーケンは、ブレイクアウトの買収を通じたIPO準備の高度化から、米国投資家向けのプライベートマーケット立ち上げまで、事業拡大を進めている。企業戦略と政治関与の同時進行は、規制の行方が取引所の成長路線に直結する可能性を示す。クラーケンのIPO計画は、ワシントンが明確性を示すのか、膠着が続くのかに左右される局面にある。