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DApps向け分散型レイヤー2のインフラ「Cartesi」とは?

21 mins

分散型アプリケーション(DApps)は、ブロックチェーンを基盤にしていますが、今日、DeFi(分散型金融)のユーザーにとっては、ブロックチェーン上のスマートコントラクトとやり取りする手段として身近な存在になっています。この革新的なアプリは、最近流行りのプレイ・トゥ・アーン(遊んで稼ぐ)ゲーム、ブロックチェーンベースの投票、イールドファーミングとステーキングプロトコル、そしてNFTの根幹をなすものです。しかし、従来型のプログラミングスキルを持つ開発者は、ブロックチェーンにおけるインフラへの対処にしばしば困難を抱えています。今回紹介するCartesiは、DeFiユーザーが使い慣れたオペレーティングシステムを使って、こうしたインフラをめぐる課題に対応できるソリューションを提供するものです。

この記事では、Cartesiとは何か、仕組み、特徴、トークン、ウォレット、今後の展開などについて順を追って解説します。

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Cartesiとは?

Cartesiは、分散型ネットワークのレイヤー2のスケーリングソリューション(高速トランザクションや低コストなどを実現するソリューション)で、ユーザーは使い慣れたプログラミングソフトウェアを使ってDAppsの開発ができます。これらのDAppsを実行するネットワークは主にイーサリアムですが、スマートコントラクトの多くはSolidityというプログラミング言語を使用しています。しかし、すべての開発者がこの言語に精通しているわけではないので、彼らがブロックチェーン上でDAppsを作成するには、追加のトレーニングや学習が必要になります。

CartesiはLinuxベースの仮想マシンを提供していますが、これによってブロックチェーンのスケーラビリティ(データの処理能力)が向上し、開発者にとってアクセスしやすくなります。このスケーリングソリューションは基本的に、Linuxなどの従来のソフトウェア環境とブロックチェーンとの間の橋渡しの働きをします。プログラミングやWeb3拡張の高速化が実現できる新しいオペレーティングシステムです。

チームと資金調達

Cartesiの共同設立者は、エリック・デ・モウラCEOです。過去にWiNGs Telecomのソフトウェア設計者、Arizona Bayのソフトウェア開発者、WebRadarのエンジニアとして働いた経験があります。モウラ氏と並んで、コンピュータグラフィックス分野のディエゴ・ネハブ教授も共同設立者で現在CTOを務めています。その他に、Augusto TeixeiraCSO(最高戦略責任者)、コリン・スタイルCOO(最高執行責任者)など、著名なメンバーが揃っています。

なお、このプロジェクトは、Bigbang Angels、Taiwan Startup Stadium、ICONIUM、SOSV、Artesian VCなどから投資を受けています。

沿革

Cartesiは2018年に設立され、ブロックチェーンのオペレーティングシステムを開発する前は、元々管理者不要の人工知能のマーケットプレイスとして企図されていました。Teixeira COOは、DAppsネットワークの導入を増やすという目標に端を発して、IOTA(次世代プロトコルの開発を目指す非営利財団)の共同創設者の1人を説得して、プロジェクト開発への資金を得ました。

その後すぐに、1億個のCTSIトークンが2020年に販売され、プロジェクトのガバナンスをさらに分散化する計画が現在進行中です。なお、現在、創設メンバーが意思決定ができる過半数株式を保有しています。

Cartesiの仕組みは?

Cartesiの仕組み:各ステップ: Cartesi

Cartesiは、DAppsのエコシステムに対し、Linuxの仮想プログラミング環境、楽観的ロールアップ注)、サイドチェーンを提供しています(以下参照)。これらのブロックチェーンのスケーラビリティソリューションを用いて、Linux OSのリソース上でスマートコントラクトが作動します。その結果、開発者は従来のブロックチェーンではできなかった集中的なオフチェーン計算が行えます。Cartesiは、オンチェーンとオフチェーンの両方のコンポーネントを組み合わせて機能させています。
注)すべてのトランザクションが有効であると「楽観的」に推定されるロールアップ。ロールアップは、ブロックチェーンのスケーラビリティ問題を解決するためにレイヤー2で使用される技術

  • Cartesi仮想マシン:これはLinuxをベースとした基本インフラです。このマシンによって、Cartesiのノードによるオフチェーン計算がスムーズに行われます。このプロセスでは、CartesiマシンがすべてのDAppsロジックを処理している間、データ処理が無制限にできます。
  • Cartesi楽観的ロールアップ:「楽観的ロールアップ」は、オフチェーンでスマートコントラクトの計算が可能となるレイヤー2システムです。これにより、高いスケーラビリティが実現されます。また、レイヤー1とレイヤー2間のトークンの橋渡しもできます。
  • Noetherサイドチェーン:メインのブロックチェーン以外でのデータ保管とメモリに使用されます。使用されていないデータは時間が経つにつれ削除され、ガス代の削減とストレージ管理の向上につながります。
  • Descartes Rollups(デカルトロールアップ):Descartes SDK(ソフトウェア開発キット)もオフチェーン計算を可能にするものです。DAppの参加者は、従来のブロックチェーンに共通してみられるフルノード(トランザクションデータをすべて所有しているノード)の代わりに、(自ら)検証を行います。これにより、取引手数料が不要になります。

以下は、コンセンサスとエポック(ノードがブロックを作り出す時間)間隔でのノードの動作の図解です。

ノードのエポック:Cartesi

Cartesiの特徴

Cartesiは、ユーザーが使い慣れたプログラミングソフトウェア上で動くブロックチェーンOSの初の提供者になるかもしれませんが、「楽観的なロールアップ」のソリューションの先駆者ではありません。ただし、Cartesiプロジェクトは、他の類似のプラットフォームと一線を画しているといえます。

その1つは、アプリケーションに特化したロールアップのソリューションが、個々のバリデータに大きな力を与えていることです。以下は、他のプラットフォームと異なるCartesiの主な特徴です。

  • 高いスケーラビリティ-CartesiのDescartes SDKは、分散化を妨げずに、オフチェーンのロールアップの実行によって、膨大な計算のスケーラビリティが実現できます。
  • 主流のプログラマビリティ-プログラマーは、Linuxの仮想マシン上で主流(mainstream)のソフトウェア資源を使用して、DAppsとスマートコントラクトを符号化できます。また、この種のソリューションで完全な検証ができるのは、Cartesiのみです。
  • 移植性-Cartesiは、そのオフチェーンのノード機能により、1つのブロックチェーンに限定されません。バイナンススマートチェーン(BSC)イーサリアムMaticなど、ほとんどの主要チェーン上で実行できます。
  • プライバシー-DAppのデータを隠したい場合は、Cartesiの持つプライバシー機能を使って実現できます。

CTSIトークン

Cartesi(CTSI)トークンは、Cartesiのサイドチェーンのインフラを動かすネイティブのユーティリティトークン(特定のコミュニティやサービスに対して利用できるトークン)です。このトークンは、トランザクション手数料の支払いやブロックの検証にも使用されます。また、プロジェクトの信頼できるパートナーを通じて、一部のショップで決済手段としても使えます。一方、Cartesiの助成金プログラムでは、トークンにガバナンス権限が付与されているので、ステーカー(預け入れ者)はトークンを持つことで(コミュニティでの)投票権が得られます。

CTSIの現時点(記事執筆時点)の価格は0.2001ドルで、合計時価総額は1億4,460万ドルです。流通供給量は7億2,330万CTSI個で、総供給量とその上限はともに10億個です。

トークノミクス

以下はトークンの配布状況です:

  • プレセール割当分:670万個(4ヶ月ごとに25%がアンロックされる)
  • バイナンスのローンチパッド(上場前の暗号資産を安く購入できるイベント・サービス)セール:1億個
  • プライベートセール:5,000万個(権利確定期間は12ヵ月、四半期ごとに11.1%がアンロックされる)
  • シードセール(ベンチャーキャピタルや投資関連会社対象のセール):2,000万個(権利確定期間は12ヵ月、四半期ごとに14.3%がアンロックされる)

ステーキング

CTSIの保有者は、トークンをステーク(預け入れ)して、ネットワークに参加するだけで報酬が得られます。以下は、Cartesiのプール(暗号資産の集まる場所)のパフォーマンスリストですが、投資家はプールに含まれる総ユーザー数、報酬額、ステーク金額、その他の追加情報が閲覧できます。

プールのステーキングにおけるパフォーマンス:Cartesi

Cartesiのウォレット

Cartesiのインフラにおいては、レイヤー1のアクティビティを実行するには、トランザクションをメインチェーンに送信する必要があります。これは、CartesiのCompute Node内のウォレットを使ってできます。ただし、ユーザーはこのウォレットをメイン(チェーンの)ウォレットと混同しないでください。この特殊なウォレットは、ユーザーによるノードのインストール時に作成を指示されます。

Cartesiの今後の展開

Cartesiのスケーラビリティの向上を目指すビジョンは、DeFiの世界に関わる人々に多大な恩恵をもたらしました。同社は、従来のブロックチェーンのインフラと、様々なプレーヤーがアクセスしやすい新しいシステムとの間の架け橋となったのです。Cartesiは、ロールアップ機能をレイヤーとして追加することで、相互運用性、スケーラビリティの合理化、トランザクション手数料の削減といった、ブロックチェーンのユーザーの間で増え続ける要件のいくつかを満たすことに成功しました。

Cartesiによる分散型金融に対するこの新しい、開発者に優しいアプローチは、まだ道半ばです。Cartesiチームは現実に、HTTP APIのドキュメントとテストを実装する計画を立てており、これによりバリデータによるCartesのiバリデータノード(ブロックを承認するためのノード)の使用が促され、メインネットの展開前の監査が強化されるとみられます。このように、Cartesiプロジェクトの全貌が明らかになるまでは、まだしばらくかかりそうですが、さらに高速で扱いやすいDAppsの発展が近い将来に期待されます。

よくある質問

暗号資産のCartesiは何をするものですか?

Cartesiはイーサリアム上にあるのですか?

Cartesiはなぜ重要なのですか?

デカルトロールアップとは何ですか?

CTSIトークンは何に使われるのですか?

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Takashi Higashi
国際広報、海外の先端技術調査、海外企業との提携等をこれまで行ってきました。ここ数年、暗号資産に関心を持ってウオッチしています。
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