インターネット・キャピタル・マーケット(ICM)は、暗号資産(仮想通貨)業界で急速に拡大しているトレンドです。
ICMは従来の投資モデルを根本から覆し、クリエイターや支援者がアイデア(ミーム、アプリ、コミュニティ主導のコンセプトなど)を取引可能な資産へと変換できる仕組みを提供します。
本稿では、2025年時点におけるインターネット・キャピタル・マーケットの全貌をお伝えします。
重要ポイント
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インターネット・キャピタル・マーケット(ICM)は、インターネット発のアイデアをトークン化し、誰でも取引可能な資産にすることを可能にします。
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ICMは従来の金融機関を介さず、銀行やブローカー、資格審査なしに、より迅速かつ低コストで資金調達が可能です。
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Believeのようなプラットフォームでは、SNSから直接トークンをローンチでき、コーディングの知識も不要です。
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期待が高まる一方で、ICMトークンは高いボラティリティや監督不在、ミームコインと類似する投機性の強さなどが課題として指摘されています。
インターネット・キャピタル・マーケット(ICM)とは?
インターネット・キャピタル・マーケット(ICM)は、インターネット発のアイデアをトークン化し、暗号資産(仮想通貨)として発行・流通させる概念を指します。
たとえば以下のようなものが対象となります。
- アプリケーション
- ウェブサイト
- プロジェクト
- ミーム
つまり、事業者や開発者が自らのコンセプトやプロジェクトに対して独自トークンを発行でき、そのトークンは取引可能な資産となります。
トークンを購入することで、そのプロジェクトのアイデアに間接的に投資できる、というわけです。
ICMはグローバルな資本市場(=従来の株式市場のようなものですが、地域的制約がありません)といえます。
このような新興分野は2025年初頭にX(旧Twitter)を中心に広がり始めました。
この用語は、Multicoin Capitalのエッセイ「The Solana Thesis: Internet Capital Markets」で初めて明確に提唱されました。著者のKyle Samani氏は、Solanaが分散型インターネット・ネイティブ資本形成を支える可能性について述べています。
さらに、その思想的ルーツはSolana Labs共同創業者Anatoly Yakovenko氏による「Solanaを分散型NASDAQにする」というビジョンにもさかのぼります。
ICMと従来の資本市場の違い
資本市場とは、株式や債券などの長期投資商品を取引し、資金を調達する金融システムの一部です。
従来型資本市場とICMの最大の違いは「アクセスのしやすさ」にあります。
従来の資本市場で資金調達を目指す企業は、投資銀行との提携、厳格な監査、広範な法規制への対応など、多くのハードルを越えなければなりません。こうした仕組みは投資家保護のためですが、その分プロセスが長く、コストも高くなり、スタートアップや海外プロジェクトにとっては参入障壁が高くなっています。
一方、ICMでは場所や時間の制約なく、仲介業者なしで直接ユーザーへアクセスできます。
銀行やブローカーも不要で、プロジェクト・投資家の双方にとってコストも低く、スピーディな資金調達が可能です。
さらに、従来の資本市場では投資家が「適格投資家(accredited investor)」になる必要があり、アメリカの場合は純資産100万ドル超または年収20万ドル超などの条件を満たさなければ参加できません。
これは多くの人々にとって参入障壁となっています。
従来の資本市場 | インターネット・キャピタル・マーケット |
---|---|
地域的な制約あり | 24時間グローバルに参加可能 |
規制コストが高い | プロジェクト・投資家双方のコスト低減 |
適格投資家が必要 | 誰でも参加可能 |
法的な投資家保護あり | 監督機関による規制は基本的に無し |
Conversely, these safeguards come at a cost; they make the process lengthy, expensive, and inaccessible to many startups and international projects, limiting who can participate in capital formation.
ICMとミームコインの違い
ICMは暗号資産(仮想通貨)投資家の新たなトレンドとなっていますが、ミームコインとの類似性を指摘する声もあります。
ICMは開発者が自らトークンを発行する点が特徴ですが、明確な審査プロセスやプロジェクト・運営側の約束履行を保証する仕組みがない点でミームコインと共通しています。
https://twitter.com/Deebs_DeFi/status/1922362589922591184
加えて、ICMトークンは本質的価値の不明確さや高いボラティリティも課題として指摘されており、実用性が乏しい点でもミームコインと似ていると考えられています。

それでも、ICMとミームコインは目的や将来的な可能性において大きく異なります。
ICMはインターネット発のプロジェクトの資金調達や投資の新時代を目指すのに対し、ミームコインは主にネット上の流行を活用した投機対象です。
いずれにせよ、どちらの仕組みにもリスクとリターンが伴うため、十分な注意と理解が必要です。
関連記事:ミームコイン投資で稼ぐためのリスク管理術
ICMトークンの購入方法
Believe appは、ICMトレンドの中心的存在であり、ネイティブトークンであるLaunch Coin(LAUNCHCOIN)を軸としています。
Ben Pasternak氏が開発したBelieveでは、X(旧Twitter)でツイートを投稿するだけで、ほぼあらゆるコンセプトを取引可能なトークンへ即座に変換できます。
コーディングは不要で、Solana上で即時トークン発行が可能です。Believeは pump.fun とよく比較され、以下のような仕組みを採用しています。
- ボンディングカーブ(Bonding Curve)
- DEX(分散型取引所)への自動上場・卒業
- DEX上場には時価総額10万ドル(pump.funでは約9万ドル)の到達が要件
Believeとpump.funの主な違いは手数料設計にあり、Believeでは早期購入者ほど手数料が高く、後に2%へと下がる仕組みです。手数料はプラットフォームとクリエイターが50:50で分配されます。
2025時点の注目ICMトークン
BelieveのLaunch Coin(LAUNCHCOIN)はICMを代表するトークンです。もともとはBen Pasternak氏の名を冠したPASTERNAKトークンでしたが、後にリブランディングされました。発行上限は10億LAUNCHCOINで、MulticoinのICM論考が発表された翌日にローンチされています。

その他、時価総額ベースで注目されるICMトークンには以下があります。
- Vine Coin(VINE): 人気ソーシャルメディア「Vine」復活を掲げるトークン
- Dupe(DUPE): 類似商品を安く探せるプラットフォーム
- Jelly-My-Jelly(JELLYJELLY): 友人と動画クリップを共有できるビデオチャットプラットフォーム
関連記事:暗号資産(仮想通貨)はやめとけ⁉︎ 暗号資産がもたらすリスクとは
投資の新しいかたち
インターネット・キャピタル・マーケット(ICM)は、デジタル時代における資金調達・投資・資本活用のあり方を大胆に再構築する動きです。
このモデルが伝統的な資本市場の代替として成熟するのか、あるいは一過性の暗号資産(仮想通貨)トレンドで終わるのかは今後の動向次第です。ただし、投資・開発・クリエイションの垣根が曖昧になりつつある現在、ICMがその中心的役割を担っているのは間違いありません。
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本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。投資判断は必ずご自身でリサーチ(DYOR)の上でご検討ください。
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