2027年、子どもの資産形成を考える親にとって重要な転換点が訪れます。政府は2026年度の税制改正大綱に少額投資非課税制度(NISA)の拡充を盛り込んだ閣議決定しており、この税制改正により、0〜17歳を対象とした「こどもNISA」が27年より開始されるとともに、暗号資産の税制が大幅に改善される見込みです。
「子どもの教育資金や将来のために、今から何をしておくべきか」—多くの親が抱えるこの悩みに、新たな選択肢が加わることになります。本記事では、「こどもNISA」と暗号資産投資、それぞれのメリット・デメリットを比較し、子育て世帯に適した資産形成戦略を提案します。
「こどもNISA」の仕組みと特徴
基本スペック
- 対象年齢: 0〜17歳
- 年間投資枠: 60万円
- 非課税保有限度額: 600万円
- 投資対象: 長期の積立・分散投資に適した投資信託
- 18歳以降: 通常のNISA枠(1,800万円)に自動移行
- 払出し制限: 12歳以降は子の同意があれば払出し可能
こどもNISAのメリット
1. 確実な非課税メリット
運用益が完全非課税となるため、複利効果を最大限活用できます。例えば、0歳から年間60万円を積み立て、年率5%で運用できた場合:
- 18年間の積立総額: 1,080万円
- 運用益を含む評価額: 約1,700万円
- 非課税メリット: 約120万円(通常なら20%課税)
2. 強制的な長期投資
12歳までは原則払出しできないため、短期的な誘惑に負けず、長期投資を継続できます。
3. 金融教育の機会
子どもと一緒に投資先を選んだり、運用状況を確認することで、実践的なお金の教育ができます。
4. 大学進学時の強い味方
18歳時点で600万円の非課税枠があれば、入学金や授業料の大きな助けになります。
こどもNISAのデメリット・注意点
1. 投資対象の制限
国が認めた投資信託のみが対象で、個別株や債券への直接投資はできません。
2. 年間60万円の上限
月5万円の積立が上限となるため、余裕資金が多い家庭では物足りない可能性があります。
3. インフレリスク
年率5%の運用ができても、インフレ率が高ければ実質的な購買力は目減りする可能性があります。
暗号資産投資の可能性と課題
2027年以降の税制変更
2026年1月現在、暗号資産の売却益は最大55%の税率が適用されますが、2027年以降は申告分離課税(20%)への移行が確実視されています。これにより、暗号資産は株式と同等の税制優遇を受けることになります。
暗号資産投資のメリット
1. 高いリターンの可能性
過去のデータを見ると、ビットコインやイーサリアムは長期的に高いリターンを記録してきました。例えば:
- ビットコインの10年間のリターン: 年平均100%超(変動は非常に大きい)
- 伝統的な株式市場: 年平均7〜10%
2. 分散投資の新しい選択肢
株式や債券と相関が低いため、ポートフォリオの分散効果が期待できます。
3. デジタル経済への対応
子どもが成人する頃には、ブロックチェーン技術やデジタル資産が日常的な存在になっている可能性があります。
Sponsored Sponsored4. 少額から開始可能
1,000円程度から投資できるため、試験的に始めやすい特徴があります。
暗号資産投資のデメリット・リスク
1. 高いボラティリティ
価格変動が激しく、資産が半分以下になることも珍しくありません。
2. 規制リスクの不確実性
各国政府の規制方針が変われば、価格に大きな影響を及ぼします。
3. セキュリティリスク
取引所のハッキングや、秘密鍵の紛失により資産を失うリスクがあります。
4. 税制優遇はまだ「検討中」
申告分離課税は確定事項ではなく、実現しない可能性もゼロではありません。
5. 非課税制度がない
NISAのような非課税制度は暗号資産には適用されません。
比較表:こどもNISA vs 暗号資産
| 項目 | こどもNISA | 暗号資産 |
|---|---|---|
| リスク | 低〜中 | 高 |
| 期待リターン | 年3〜7% | 不明(過去は高い) |
| 税制優遇 | 完全非課税 | 20%課税(改正後) |
| 流動性 | 12歳まで制限あり | 高い |
| 投資上限 | 年60万円 | なし |
| 安全性 | 高い | ハッキング等のリスク |
| 教育効果 | 高い | 高いがリスク教育も必要 |
| 社会的信用 | 政府保証 | 発展途上 |
親が取るべき戦略:二者択一ではなく「ハイブリッド」
基本方針:こどもNISAを軸に、暗号資産は補完的に
多くの子育て世帯にとって、最適解は「どちらか一方」ではなく、「こどもNISAをメインに、暗号資産を補完的に活用」する戦略です。
推奨配分モデル
Sponsoredパターン1:安定重視型(推奨度:★★★★★)
こどもNISA 95% : 暗号資産 5%
- 対象: リスクを最小限にしたい家庭
- こどもNISAで着実に資産形成
- 暗号資産は「学習用」として少額のみ
- 万が一暗号資産がゼロになっても大きな影響なし
具体例: 月5万円をこどもNISA、月2,500円を暗号資産に積立
パターン2:バランス型(推奨度:★★★★☆)
こどもNISA 80% : 暗号資産 20%
- 対象: ある程度のリスクを取れる家庭
- こどもNISAで安定的な基盤を確保
- 暗号資産で高リターンを狙う
- ポートフォリオ全体の分散効果を期待
具体例: こどもNISAに年間60万円満額+別途、月1.5万円を暗号資産に積立
パターン3:挑戦型(推奨度:★★☆☆☆)
こどもNISA 60% : 暗号資産 40%
- 対象: 高いリスク許容度がある家庭
- 余裕資金が十分にある
- 暗号資産市場の成長を強く信じている
- 注意: 暗号資産が大きく下落しても教育資金に影響しない前提が必須
具体例: こどもNISAに年間60万円満額+別途、月3万円を暗号資産に積立
なぜ「こどもNISA優先」なのか
1. 確実性の違い
教育資金は「必要な時期」が明確です。大学進学時に資金が不足すれば、子どもの選択肢を狭めてしまいます。こどもNISAは政府が制度を保証しており、元本割れリスクも伝統的な投資信託レベルです。
2. 非課税メリットの大きさ
運用益が完全非課税という特典は、長期運用において極めて強力です。暗号資産は改正後も20%課税されるため、この差は無視できません。
3. 金融教育の質
投資信託を通じて、分散投資、複利効果、市場サイクルなど、普遍的な金融知識を学べます。暗号資産も学びになりますが、特殊性が高く、基礎教育としては投資信託が適しています。
年齢別の投資戦略
Sponsored Sponsored0〜5歳:土台作りの時期
戦略: こどもNISAで積立開始、暗号資産は少額から学習
- こどもNISAに月3〜5万円
- 暗号資産に月1,000〜5,000円(親の学習も兼ねて)
- 18年という長期間を活かした複利効果を最大化
6〜11歳:教育と対話の時期
戦略: こどもNISAを継続、子どもとの対話を開始
- 引き続きこどもNISA中心
- 小学校高学年から、投資の仕組みを一緒に学ぶ
- 暗号資産については「新しいお金の形」として説明
- 12歳以降の払出し可能性を見据えた計画確認
12〜17歳:自立準備の時期
戦略: 子どもの意見を取り入れ、リスク管理を学ばせる
- 払出しが可能になるため、使途について対話
- 暗号資産については、子どもが興味を持てば少額で体験させる
- 大学進学資金としての目標額を確認
- 18歳以降の投資計画を一緒に考える
実践的なアクションプラン
今すぐできること(2026年中)
- 家計の見直し: 月々の投資可能額を計算
- 証券口座の準備: NISA対応の証券会社を比較検討
- 暗号資産の勉強: 書籍やセミナーで基礎知識を習得
- 取引所の口座開設: 税制改正前に準備だけしておく(少額から試してみるのも一案)
- 家族会議: 配偶者と投資方針を話し合う
2027年スタート時
- こどもNISA口座開設: 制度開始と同時に手続き
- 積立設定: 自動積立で継続性を確保
- 暗号資産は慎重に: 税制改正の詳細確認後、少額から開始
- 記録管理: 投資の記録を残し、子どもと共有
定期的な見直し(年1回)
- ポートフォリオ確認: リスク配分が適切か検証
- 目標額の再設定: 大学費用の見積もりを更新
- 子どもとの対話: 投資の意味や結果を共有
- 税制変更のチェック: 新しい制度や優遇措置の確認
まとめ:子どもの未来は「確実性」と「可能性」のバランスで
子どもの将来のための資産形成において、「こどもNISA」と「暗号資産」は対立するものではなく、それぞれ異なる役割を持つツールです。
こどもNISAは「確実性の土台」として:
- 政府保証の制度
- 非課税という明確なメリット
- 教育資金という明確な目的
- 金融教育の実践の場
暗号資産は「可能性への挑戦」として:
- 高リターンの可能性
- デジタル時代への適応
- 新しい資産クラスへの早期参入
- リスク管理の学習機会
重要なのは、「確実性8割、可能性2割」というバランス感覚です。子どもの教育資金という「失敗できない目標」に対しては、安定的なこどもNISAを軸とし、暗号資産はあくまで「プラスアルファ」と位置づけることが賢明です。
2027年からの新制度は、子どもの未来を考える親にとって大きなチャンスです。しかし、制度やツールはあくまで手段。最も大切なのは、子どもと一緒にお金について学び、考え、対話すること。その過程こそが、どんな金融商品よりも価値のある「資産」を子どもに残すことになるでしょう。