東証グロース市場上場の「売れるネット広告社グループ」は12月1日、暗号資産の復旧・保全サービスを手掛ける新会社「ビットコイン・セイヴァー」を設立した。国内上場企業として初めてデジタル資産リカバリー事業に参入する。
パスワード紛失や秘密鍵の管理失敗により、アクセス不能となった暗号資産の復旧を支援する。全世界で約370万BTC、日本円換算で約60兆円相当のビットコインが紛失状態にあると推定されており、こうした資産の復旧サービス市場への参入となる。
Sponsored拡大する暗号資産市場と復旧需要の高まり
世界の暗号資産市場時価総額は2025年現在、約595兆円から611兆円前後で推移している。国内市場も拡大基調にあり、日本の暗号資産取引所市場は2024年の約4335億円から、2033年には約3兆6540億円規模へ成長すると予測されている。年平均成長率は26.75%と高い伸びが見込まれる。
市場拡大に伴い、暗号資産特有のリスクも顕在化している。秘密鍵の紛失、ウォレットパスワードの失念、取引所へのアクセス障害、相続時のデジタル資産移転など、従来の金融システムでは解決困難な課題が発生している。国内では2025年1月時点で1200万口座を超える暗号資産口座が開設されており、人口比で約10人に1人が暗号資産に関わっている。高齢化社会の進展に伴い、認知症による管理不能や相続時のトラブルも増加傾向にある。
海外ではKeyChainXやWallet Recovery Services等の専門業者が既にサービスを展開している。国内では、データ復旧大手のブレイバーが2022年から「クリプトサルベージ」として暗号資産救出サービスを提供しているが、上場企業による本格参入は今回が初となる。
成功報酬型の料金体系で参入
新会社は24時間対応のオンラインサポート体制を整備し、回収資産の40%を成功報酬とする料金体系を採用する。従来のデータ復旧業界では調査費として数十万円の初期費用に加え、成功報酬として10%から22%程度を設定する事例が多いが、同社は着手金などの初期費用を抑えた設計とした。復旧に至らなかった場合の費用負担を最小限にする方針である。
技術面では、ハッキングコンテストで実績を持つ専門家が参画し、解決率90%以上の実績を持つ岩田顕斗氏と共同出資する形で事業を展開する。岩田氏はこれまでに数億円分の暗号資産を復旧した経験がある。対応範囲は主要な暗号資産ウォレットや取引所を想定しており、個人ユーザーに加えて法人の資産管理や相続関連分野への展開も計画している。
将来的にグローバル展開を視野
同社は「AI×新規事業×M&A」を成長戦略の柱と位置付けており、デジタル資産リカバリー事業を新たな収益源として育成する方針を示している。2026年7月期の連結業績へのプラス寄与を見込んでいる。
将来的な展開として、多言語対応やAIチャットボット活用によるグローバル展開、国際的なセキュリティ認証取得による信頼性向上、相続・法人領域での市場開拓を計画している。同社は「失われた370万BTCの1%を救出する」ことを目標に掲げており、約3万7000BTCの復旧を目指すとしている。