デジタル資産市場は直近2週間で大きな変動を見せた。連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測を背景に約20億ドルの資金流入があった後、投資家心理は急速に冷え込み、暗号資産から資金が流出した。
先週は米国のマクロ経済データが予想を上回り、投資商品から8億1200万ドルが流出した。
暗号資産流出額が8億1200万ドルに、マクロデータが信頼を揺るがす
SponsoredCoinSharesの最新レポートによれば、先週の暗号資産流出額は8億1200万ドルに達した。これは、9月20日までの週に20億ドル近い流入を記録した直後の急反転である。
ビットコインは7億1900万ドルの流出を記録し、イーサリアムも4億900万ドルが流出した。年初来で120億ドル規模の流入を積み上げていた主要資産の勢いは一時的に失速した。
ただし、ショート系ビットコイン商品の急増は見られなかった。これは持続的な下落予想というよりも、市場の慎重姿勢による後退と解釈できる。
イーサリアムは、わずか1週間前に7億7200万ドルの流入を記録した直後に急落しており、時価総額2位の暗号資産への投資家心理の変動性を浮き彫りにした。
Sponsored Sponsored一方で、全ての資産が売られたわけではない。ソラナは米国でのETF上場観測を背景に2億9100万ドルの流入を確保した。
XRPも9310万ドルの資金を呼び込み、オルトコインが機関投資家向け商品拡大の恩恵を受ける可能性を示した。
ただし対照的な構図は鮮明だ。ビットコインやイーサリアムがマクロ環境に敏感なのに対し、ソラナなどは製品革新や規制動向と結びつく成長ストーリーとして評価されつつある。
経済指標の変化で楽観から市場の警戒へ
Sponsored Sponsoredこうした逆転は、米国のGDPや耐久財の改訂値が2025年の複数回利下げ観測を覆したことが背景にある。
数日前まで緩和的な政策を織り込んでいた投資家は、一転してタカ派的な見通しを迫られ、リスク回避姿勢を強めた。
結果として米国は全体の流出の中心となり、10億ドル規模の流出を計上した。ネガティブなセンチメントは主に米国投資家に偏在しており、金利期待の変化に迅速に反応した形だ。
1週間前まで米国投資家は最も積極的な買い手の一角を占めており、FRBの緩和期待を背景に資金を投じていた。
この急変は、マクロ経済の見出しが市場ポジションを即座に動かすほど、投資家の信頼が依然として脆弱であることを物語る。
今回の後退は、暗号資産がマクロ経済サイクルに強く依存している現実を示し、主流資産としての位置づけが進むなかでも外部要因の影響が大きいことを改めて浮き彫りにした。
それでも累積的な資金流入は底堅い。年初来の流入額は396億ドルに達し、昨年の記録である486億ドルに迫る。9月単月でも40億ドルが追加された。
今回の変動はセンチメントの揺らぎを示す一方で、デジタル資産への構造的関心が依然として確固として存在することを示唆している。