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三井住友海上、Web3活用の社会課題解決で協業へ

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執筆&編集:
Shigeki Mori

23日 12月 2025年 14:55 JST
Trusted-確かな情報源
  • 三井住友海上はDEAおよびGRGと社会課題解決に向けた協業検討のMOUを締結し、ゲームアプリと保険の融合モデルを構築
  • PicTrééなどのゲームを通じてインフラ点検や防災啓発を促進し、日常行動による未然防止とリスク可視化を実現
  • 2026年度内に国内で実証プロジェクトを開始予定で、自治体やインフラ事業者と連携した複数地域への展開を目指す
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三井住友海上火災保険は22日、シンガポールのDigital Entertainment Asset(DEA)、Growth Ring Grid(GRG)の2社と、スマートフォンゲームを活用した社会課題解決の協業検討に関する基本合意書(MOU)を締結した。インフラ点検や防災啓発を題材としたゲームアプリと損害保険の知見を組み合わせ、リスク予防や地域活性化につなげる新たなモデルの構築を目指す。2026年度内に国内で実証プロジェクトを開始する計画だ。

ゲームと保険の融合で新たなリスク管理モデルを模索

三井住友海上火災保険は12月22日、Web3技術を活用したゲーム開発を手がけるDEAおよびGRGとの協業検討に関する基本合意を発表した。市民参加型のゲームアプリ「PicTrée(ピクトレ)」を中心に、インフラ保全、防災・減災、交通安全などの領域で、ゲームを通じた社会課題解決の可能性を検証する。

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PicTrééは、プレイヤーが街中の電柱やマンホールなどをスマートフォンで撮影し、その地点をつなげてルートの長さを競う無料のゲームアプリである。プレイヤーは活動量に応じてギフト券や暗号資産のリワードを受け取れる設計となっており、遊びながらインフラ設備の状態確認や異常の早期発見に貢献する仕組みだ。

三井住友海上は損害保険事業で培ったリスクマネジメントの知見を提供し、社会課題のテーマ選定やリスク分析を担う。一方、DEAはゲーム設計やWeb3技術を用いたインセンティブ設計、GRGは自治体やインフラ事業者との実証プロジェクト運営を担当する予定だ。

日常行動を通じた「未然防止」への転換

協業の背景には、社会を取り巻くリスクの多様化・複雑化がある。気候変動による自然災害の激甚化やインフラ老朽化、地域コミュニティの希薄化などに対し、保険による事後対応だけでなく、日常の行動を通じた未然防止や被害軽減が求められている。

3社は、ユーザーの行動データや投稿データを活用してリスクを可視化する仕組みを検討する。ゲーム内のミッションやイベントと連動し、日常的な安全行動や防災行動を促進する施策も計画されている。また、自治体やインフラ事業者と連携し、観光振興、防災訓練、インフラ点検など複数の目的を同時に満たす「マルチベネフィット型コンテンツ」の開発も視野に入れる。

市民一人ひとりがゲーム感覚で社会課題に参加できる仕組みは、スマートフォンとWeb3技術の普及により実現可能性が高まっている。参加型コンテンツが生み出すデータと保険・金融の仕組みを組み合わせることで、社会的価値と経済的価値の両立を図る狙いだ。

2026年度内に国内で実証プロジェクトを具体化

3社は同MOUに基づき、2026年度内を目途に国内の自治体、インフラ事業者、企業と連携した実証プロジェクトの具体化に向けて協議を進める方針である。実証結果を踏まえたサービス化や、複数地域への展開可能性についても検討を行う。

DEAは2018年設立のシンガポール企業で、Play to Earnゲームの開発や自社発行の暗号資産「DEAPcoin(DEP)」の運営を手がける。GRGは2025年4月設立で、「インフラの民主化」を掲げ、市民参加型のインフラ点検・保全プラットフォームの構築に取り組んでいる。

損害保険大手の三井住友海上がWeb3技術を活用したスタートアップ企業と協業することで、保険業界の新たなビジネスモデル開発につながるか注目される。

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