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2024年注目のDePIN(分散型物理インフラネットワーク)とは?

18 mins

ヘッドライン

  • DePINは、インフラ管理の効率性向上やコスト削減を目的としており、多くの産業での導入が進んでいます。
  • 従来の中央集権型のインフラ管理とは異なり、DePINは個人や小規模事業者も参加できる形で運営されます。
  • DePINは、ブロックチェーン技術を利用することで、インフラの管理・運営を分散型で行います。

2024年に注目を集める仮想通貨の新たな領域として、DePIN(分散型物理インフラネットワーク)が急速に台頭しています。DePINの台頭により、インフラ管理の効率性向上やコスト削減が期待され、多くの産業での導入が進むと見られています。今回は、DePINの基本的な概念やその特徴、そして将来の展望について詳しく解説します。

DePINとは何か? 基本概念の解説

DePINとは、ブロックチェーン技術を用いて分散型で物理的なインフラストラクチャを構築・運用するネットワークのことを指します。これは、分散型台帳技術(DLT)とインセンティブモデルを組み合わせて、物理的なインフラ(通信ネットワーク、エネルギー供給、データセンターなど)を効率的かつ透明性の高い方法で管理・運営する新しいアプローチです。

従来のインフラ管理は中央集権的な構造であり、大企業や政府機関が主導権を握ることが一般的です。しかし、DePINはこれを分散化し、個人や小規模事業者でも参加できる形にすることで、インフラの管理・運営の透明性と効率性を大幅に向上させます。

従来のインフラ管理との違い
出典:https://twitter.com/dr_andrewlaw/status/1649067731268894720 

従来のインフラストラクチャは、大規模な資本投資と長期的な計画が必要とされ、主に政府機関や大企業がその役割を担ってきました。これには高い運営コストと独占的な管理が伴い、効率性や透明性の欠如が問題とされてきました。

一方、DePINではブロックチェーン技術を利用することで、分散型で管理・運営されるインフラを実現します。これにより、インフラの維持管理に関わるコストが削減され、参加者間の透明性が高まります。さらに、インセンティブモデルを導入することで、個人や小規模事業者がインフラ構築に参加しやすくなります。

DePINの特徴とメリット

DePINは、中央集権型のシステムと比較して、複数の利点を持っています。まず、分散型であるため、特定の管理者や組織に依存せず、参加者全員がネットワークの一部として機能します。これにより、単一障害点(SPOF)のリスクが軽減され、ネットワーク全体の耐障害性が向上します。

コスト削減と効率性の向上

従来のインフラは大規模な初期投資と高い運用コストが必要とされましたが、DePINは参加者全員でコストを分散し、効率的な運営を可能にします。ブロックチェーン技術により、トランザクションコストが低減され、インフラの運営コストも削減されます。また、透明性の向上により、無駄なコストや不正が排除され、効率的な運営が実現します。

信頼性とセキュリティの強化

DePINは分散型のネットワークであるため、データの改ざんや不正アクセスが難しくなります。ブロックチェーン技術を用いることで、全てのトランザクションが公開され、誰でも検証できるため、高い信頼性とセキュリティが確保されます。

DePINの主なユースケースと実例

エネルギー分野での応用

エネルギー分野におけるDePINの応用例としては、再生可能エネルギーの分散型発電やスマートグリッドがあります。例えば、個々の家庭や企業が太陽光パネルを設置し、余剰電力を地域の電力ネットワークに供給することで、エネルギーの効率的な利用とコスト削減を実現します。また、ブロックチェーン技術を用いてエネルギー取引を記録し、透明性と信頼性を確保します。

通信インフラの分散化

通信インフラの分散化もDePINの重要なユースケースです。従来の通信ネットワークは大手通信事業者が独占していましたが、DePINを利用することで、個々の参加者がWi-Fiホットスポットや5Gアンテナを設置し、地域の通信インフラを構築することができます。例えば、ヘリウムネットワークは、LoRaWAN(低電力広域ネットワーク)を利用してIoTデバイス向けの分散型通信ネットワークを提供しています。

スマートシティの実現

スマートシティの実現に向けて、DePINは非常に有効な手段となります。センサーを用いてリアルタイムで都市のデータを収集し、ブロックチェーンに記録することで、交通管理、環境モニタリング、防犯など多岐にわたる分野での応用が期待されます。これにより、都市の運営が効率化され、住民の生活の質の向上が見込まれます。

日本での事例
出典:PRTimes

日本においても、DePINの導入が進んでいます。例えば、東京電力パワーグリッドが行っている「PicTrée(ピクトレ)」プロジェクトは、電柱やマンホールの写真を撮影し、そのデータを基に電線を接続するモバイルゲームアプリを開発しています。このプロジェクトでは、撮影されたデータをもとにインフラの保守点検を行い、参加者にはAmazonギフト券や暗号資産DEAPcoin(DEP)が報酬として与えられます。

関連記事:ディープコイン(DEP) とは?メリットや将来性

他にも、日本国内での具体的な事例として、KDDIの「IoT Connect」プロジェクトがあります。これは、LoRaWAN技術を用いた分散型の通信ネットワークを構築し、全国各地でIoTデバイスの接続を可能にするものであり、日本でDePINを構築した一例と言えるでしょう。

DePINの主なプロジェクト

出典:IoTex
ファイルコイン (Filecoin)

ファイルコインは、分散型ストレージネットワークで、ユーザーが余っているストレージを貸し出し、報酬としてFILトークンを受け取ることができます。これにより、ストレージの供給と需要を効率的にマッチングさせ、データの保存コストを削減します。ファイルコインは、中央集権的なストレージプロバイダーに対する分散型の代替手段として機能します。

レンダーネットワーク (Render Network)

レンダーネットワークは、GPUの計算能力を分散型で提供するプラットフォームです。グラフィックスや3Dレンダリングを必要とするアーティストやデベロッパーが、世界中の未使用のGPUパワーを利用してレンダリング作業を行うことができます。これにより、レンダリングコストを削減し、作業の効率を大幅に向上させます。

アーウィーブ (Arweave)

アーウィーブは、データを永続的かつ分散型で保存するためのストレージネットワークです。一度データを保存すれば、永久にアクセス可能であり、データの改ざんや削除が難しい仕組みを提供します。Arweaveの独自の技術により、データ保存コストが一度だけで済み、長期的なデータ保存に最適です。

ヘリウムネットワーク (Helium Network)

ヘリウムは、分散型の無線通信ネットワークを提供するプロジェクトです。ユーザーは独自のホットスポットを設置し、IoTデバイス向けに低電力広域ネットワーク(LoRaWAN)を提供することで、報酬としてHNTトークンを受け取ります。これにより、通信インフラの分散化が進み、低コストでの通信サービス提供が可能になります。

DIMO

DIMOは、モビリティデータの分散型ネットワークで、自動車データの管理と共有を目的としています。車両からのデータを収集し、ブロックチェーンに記録することで、車両の管理やメンテナンスの効率を向上させます。DIMOは、自動車データを共有し、運転者や車両所有者がより効率的にデータを活用できる環境を提供します。

PlanetWatch

PlanetWatchは、環境データの収集と共有を目的とした分散型ネットワークです。ユーザーはセンサーを設置して空気質や環境データを収集し、そのデータをブロックチェーンに記録します。収集されたデータは、研究機関や自治体などが利用し、環境保護や都市計画に役立てられます。

Hivemapper

Hivemapperは、分散型の地理データ収集ネットワークであり、ユーザーが提供するデータをもとに最新の地図情報を生成します。同プロジェクトは、一般のユーザーが車両に搭載されたカメラやスマートフォンを使用して地理データを収集し、そのデータをHivemapperのネットワークにアップロードすることで成り立っています。これにより、常に最新の地図情報が生成され、共有されます。

DePIN市場展望と将来性

DePIN市場は急速に成長しており、2024年にはさらに多くのプロジェクトが登場すると予測されています。暗号資産リサーチ会社のMessariによるとDePINの市場規模は2023年時点で1.5兆ドル以上の収益を上げており、2028年までに3.5兆ドル以上に達すると見込まれています。また、DePINは今後10年間で世界のGDPに10兆ドルを拠出する可能性があり、非常に高い成長ポテンシャルを持っています。

大手暗号資産取引所のコインベースは、DePINの将来性に注目しており、特に分散型インフラのセキュリティと効率性に大きな期待を寄せています。コインベースのリサーチレポートによれば、DePINは次世代のインフラ管理のスタンダードとなり得るとされています。

DePINと新技術の組み合わせ

DePIN(分散型物理インフラネットワーク)は、高スループット(大量のデータを高速に処理する能力)を必要とするインフラに特に適しています。このため、DePINプロジェクトは高性能なレイヤー1(L1)ネットワーク、さらにはL2またはL3ソリューション上で確立される可能性があります。DePINの他のエコシステムとの統合性も重要です。将来的には、DePINとDeFi(分散型金融)の統合によるリターンの増加や投機活動の強化やDePINとRWA(現実資産)の融合により、プロジェクトの資金調達や実世界のデータ提供が期待されます。

DePIN x ZK(ゼロ知識証明)

技術の進化によりゼロ知識証明のようなソリューションは、Web2やWeb3のデータの真正性を証明し、両者のギャップを埋めることができます。この一例として挙げられるSpace and Timeは、分散型データウェアハウス上でゼロ知識証明を用いた検証可能な計算レイヤーを提供するプロジェクトです。同プロジェクトは、スマートコントラクトや企業向けに信頼性の高いデータ処理を実現します。例えば、SQLクエリの実行結果を暗号証明し、データの改ざんを防ぎます。

関連記事:Web3業界で注目のブロックチェーン技術「ゼロ知識証明」とは?

DePIN x AI(人工知能)

DePINは、Bittensorのようなプロジェクトにより、分散型機械学習を可能にし、データ利用の革新をもたらします。Bittensorは、ブロックチェーンベースの機械学習ネットワークで、提供された情報の価値に基づいて報酬を分配します。これにより、機械学習モデルの協力的なトレーニングが実現されます。

DePIN x プライバシー

DePINのビジネスモデルはデータ利用に焦点を当てており、大規模な分散型ネットワークではデータプライバシーの保護が重要です。したがって、プライバシー保護技術との統合が成長の鍵となります。

DePIN x ゲーム

DePINとゲームの統合も重要です。大規模な分散型ハードウェアネットワークは、ゲーム体験の向上に寄与する可能性があります。現実世界のウェアラブルデバイス、ゲーム、メタバースの組み合わせが再び注目される可能性も指摘されています。また、DePINハードウェアインフラストラクチャは、ゲームのインセンティブメカニズムと体験を再構築する可能性があります。

まとめ

DePINは、ブロックチェーン技術を活用して物理インフラを分散型で管理・運営する新しいアプローチです。コスト削減や効率性の向上、信頼性とセキュリティの強化など、多くの利点を提供します。エネルギー、通信、スマートシティなどの分野での応用が期待され、日本でも具体的な事例が進行中です。市場は急速に成長しておりDePINは今後、インフラストラクチャの在り方を大きく変える可能性を秘めていると言えるでしょう。

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Shota Oba
国際関係の大学在籍中に国内ブロックチェーンメディアでのインターンを経て、2つの海外暗号資産取引所にてインターントレーニング生として従事。現在は、ジャーナリストとしてテクニカル、ファンダメンタル分析を問わずに日本暗号資産市場を中心に分析を行う。暗号資産取引は2021年より行っており、経済・社会情勢にも興味を持つ。
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