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MoMA、クリプトパンクスとクローミースクイグルを永久収蔵=NFTアートの美術史的地位確立へ

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執筆&編集:
Shigeki Mori

09日 1月 2026年 09:06 JST
  • MoMAがクリプトパンクス8点とクローミースクイグル8点を永久収蔵品に加え、NFTアートの美術史的地位が確立された。コレクターと制作者による協調的な寄贈により実現した
  • クリプトパンクスは2017年開始の初期NFTプロジェクト、クローミースクイグルはArt Blocks初のジェネラティブアート作品で、ともにブロックチェーン技術を基盤とするデジタルアートの代表例である
  • 専門家は今回の収蔵を単なる作品取得以上の意義があると評価し、分散型文化に対する美術機関の理解を示すものと分析している
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ニューヨーク近代美術館(MoMA)がこのほど、NFTアートの代表的コレクションであるクリプトパンクス8点とクローミースクイグル8点を永久収蔵品に加えた。世界有数の美術館による本格的なNFT作品の収蔵は、ブロックチェーン技術を基盤とするデジタルアートが美術史に組み込まれる重要な転機となる。

コミュニティ主導の寄贈が実現

今回の収蔵は、複数のコレクターと制作者による協調的な寄贈により実現し、昨年12月20日に発表された。クリプトパンクスについては、開発元Larva Labsの創設者マット・ホールとジョン・ワトキンソンをはじめ、ライアン・ズラー、エリック・カルデロン夫妻、コゾモ・デ・メディチといった著名コレクターが作品を提供した。クローミースクイグルについても、SquiggleDAOやgmoneyNFTなど複数の匿名を含むコレクターが参加し、スイス拠点のデジタルアートコレクション1OF1が調整役を担った。

NFT寄贈プログラム関連の著名人NB氏ら多くのNFT関係者がXで祝った
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MoMAのメディア・アンド・パフォーマンス部門に収蔵された16点は、実験的技術や新メディアアートと並んで展示される予定である。美術館のウェブサイト上でも作品を閲覧できる体制が整えられ、物理的な展示空間の枠を超えた公開が計画されている。

クリプトパンクスは2017年にLarva Labsが立ち上げた24×24ピクセルのデジタルキャラクター1万点のコレクションで、イーサリアムブロックチェーン上に生成された初期のNFTプロジェクトとして知られる。

一方のクローミースクイグルは、アーティストのエリック・カルデロンが制作したジェネラティブアート作品で、アルゴリズムによって描画されるカラフルな波線が特徴である。2020年11月にデジタルアートマーケットプレイスArt Blocksで最初にリリースされたプロジェクトで、同プラットフォームは2021年8月に月間取引高5億8700万ドルを記録した。

美術機関による制度的承認の意義

デジタルアート専門家からは、今回の収蔵が持つ文化的意義について高い評価が示された。デジタルアートフェアDigital Art Mileの創設者ゲオルグ・バックは、近現代美術において最も重要な機関であるMoMAへの収蔵により、NFTアートが美術史に正式に組み込まれたと指摘する。

フランス拠点のNGO「We Are Museums」創設者でキュレーターのディアーヌ・ドルベイは、今回の収蔵が単なる作品取得を超えた意味を持つと分析している。複数のコレクターによる寄贈という形態は、分散型文化に対するMoMAの理解と関与を示すものであり、美術機関が運営のあり方を転換しつつ新たな文化に向き合う段階に入ったことを示唆している。

クリプトパンクスはすでにパリのポンピドゥー・センターやロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA)などに収蔵されていたが、クローミースクイグルが世界的に権威ある美術機関のコレクションに加わるのは今回が初めてである。Yuga Labsは2025年5月にクリプトパンクスの知的財産権を非営利団体Infinite Node Foundationに売却し、同財団は世界各地の美術館への収蔵を目的としたパートナーシッププログラムを立ち上げた。

今回の寄贈は、NFT市場の一部で取引が再活性化する時期と重なった。The Blockによると、2025年7月下旬にクリプトパンクスは2024年3月以来最高となる週間取引高を記録し、2460万ドル以上が取引された。一方でCoinGeckoによれば、2025年初めに約25億ドルでピークを迎えた時価総額は、現在約7億6300万ドルまで縮小している。

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